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2000/01/31 (Mon) それはある夜の出来事




そう半ば強引に結論付けるのは、

この関係が崩れてはいけないのだと思ったから・・・





「それはある夜の出来事」





一通りのやる事を済ませて風呂から出た時には、11時を回っていた。

少し前までなら、この後音楽でも適当に聴いて寝るだけの高校生活だったが、今は‘変な居候’のせいで普通なら考えられない、世界が180度変わったような生活をしている。

世界が180度変わった生活、それは死神代行。
どこから説明していいのかわからないくらい色々な事があって、死神になった俺もこの仕事を始めて1ヶ月が過ぎようとしている。
どんな時でも虚って奴は出やがるから、学校を抜けなきゃいけなかったり、睡眠時間削られたりで何かと面倒だと思っていたが・・・

何でだろう。
最近、自分の気持ちが充実しているように思える。

理由を深く考えた事はないが、こんな生活もありかと思えてきているので、まぁ、いい事にしたい。

髪を拭きながら自分の部屋に着いてドアを開けると、少し前からいなかった‘変な居候’が俺のベットを占領していた。

最初の方でも言った‘変な居候’。そいつの名前は朽木ルキア。
俺にこの力をくれた死神だ。
特技は猫かぶり。普段では想像もつかないほどのお嬢キャラを学校で演じている。
意識してなかったが、最初からお互い下の名で呼び合っていたと思う。
いつだったろう、何でか自分の名前の由来を説明した時、「・・・そうか。良い名だな。」と言った笑顔が印象深い。
基本的に(こっち(現世)の知識ゼロ故に)変な奴だが、最初から不思議と信頼できた。

そんなルキアが、俺のベットを占領している。
「ふわふわして心地良い!一護、何だこれは!」と興味を持ち、今やこいつのお気に入りで、最近は占領される頻度が高いんだけど。

少し前からいなかったが、こうしてすぐに帰ってきたって事は風呂を借りに行っていたのだろう。
最初の頃は俺が見張ってうちの風呂を使っていたが、色々と危険だという事で少し前からよくわからない商人・ゲタ帽子の所に行って風呂を借りているらしい。

「おい、ルk・・・!」

ベットから退いてもらわないと困るし、俺が入ってきても気づかなかったので声をかけようとしたが、ルキアの背中が一定のリズムでゆっくり動いているのに気づいて、それをやめた。

・・・こいつ、寝てやがる。


こいつとは、何かと些細な事でよく言い合いになる。

変に起こして、またそうして言い合いになるのは御免だし、この時間帯(夜中)でその展開だけは避けたい。
しかし、このままだと風邪をひくと思い、静かにルキアに近づき、正面から起こそうと手をのばした瞬間、ふわっとルキアの方から来たシャンプーの香りで俺はその動きを止めた。

甘い香りがする。
急いで帰ってきたのか、髪の毛が乾ききっていないし、
風呂上がりのせいか、頬が少し赤い。

動きを止めた俺は、そうして何故かルキアを観察していた。

・・・こいつとは、何かと些細な事でよく言い合いになる。
それでなのか、結構な時間一緒にいるけど、こうしてこいつをじっくり見るのは初めてだ。

前から思っていたが、本当に小さい。
俺の10倍は生きていると言って、いつも偉そうにしているが、この容姿だけ見たら、俺の妹達の識別に近い。(現に、遊子のパジャマ着てるし。)
その上、押入れに住みついているから、2×世紀からやってきたどこぞのロボットのような認識もあったんだが・・・

なんだよ、その寝た格好は。

普段から小さいのに、さらに小さく丸まって寝ている。
猫やうさぎ・・・そんな小動物のようだ。
初めて会った時から印象的だった大きな目は、閉じていても改めて大きいと感じさせる。
それに、睫毛が思った以上に長い。
見た目からもそうだし、負ぶった事もあるからわかるが、軽い小柄な体格ゆえに、腕や足も異常なほど細い。

・・・こうして見ると、こいつも女なんだよな。

ふと、そう思った。
顔も綺麗に整ってるし、この容姿なら男子生徒が騒ぐのもわかる気が・・・

・・・って、何考えてんだ、俺。

今まで気に留めてない事を考え出したら、結構意識していたかのような考えを懸命に否定するように首をぶんぶん振る。


ルキアは死神で、俺は人間だ。

家族の命を守ってくれた事に、俺を助けてくれた事に感謝しているが、今代わりに死神代行として仕事を手伝っている仕事仲間。
・・・それ以上でも、それ以下でもない。

それを呪文のように何度も繰り返す。

理由ははっきりしない。

そう半ば強引に結論付けるのは、この関係が崩れてはいけないのだと思ったから。
今の感情を認めてしまったら、今思った事や考えを認めてしまったら、今の関係が崩れてしまうと思ったから・・・。

・・・何かおかしい。
今までそんな事考えた事もなかったのに。

そうだ。こいつがここで寝てて、見ていたのが原因だ。

半ば無理やり相手のせいにして、再び起こそうと手をのばす。

すると・・・

「・・・んっ・・・」

ルキアが寝返りを打つ。
そして、息を吐くと同時にそんな声を洩らした。

誰もが寝ている時に一度は出すであろう声。
しかし、今まで聞いた事のない声が、色っぽく思えた。
普段色気なんて無縁であるルキアを見てきたから、余計そう感じたのかもしれない。

風呂から上がり、下がりつつあった体温が再び上がったように思える。
その上、顔が異常に熱い。

・・・どうしちまったんだよ、俺。


こいつとは、何かと些細な事でよく言い合いになる。
それがエスカレートすると、取っ組み合いになる事だって何度もあった。

その時、こいつに触れている事に特別意識した事なんてなかったのに、今はただ起こそうとするだけの手さえ止まったままだ。

「おい、ルキア!」

ルキアを触れられずに色々と考えていたら、思わず大声でそう叫んでいた。
自分でも驚くような大声に、妹達が起きてしまったのではないかと心配したが大丈夫そうだ。

「・・・ん・・・いち、ご?」

その声に反応して、ルキアが起きた。
余程ベットが気持ち良かったのか、少し寝ぼけている状態で俺の名前を呼んでいる。

何でだろう。
こいつがいつもと違って見える気がする。

目をごしごし擦って、眠気を覚まそうしている。
餓鬼くさい仕草が、今日は何故か女っぽく見えた。

・・・ったく、何なんだよ。

「もう風呂から上がったのか?」
「‘もう’ってなんだよ。おら、そこは俺のベットなんだからどけ。俺も寝るから、お前も寝ろ。」
「む~・・・」

普段通りに会話をしようとするが、ちょっとおかしい気がする。
それに、こいつまだ寝ぼけてやがるし・・・。

すると、ルキアが・・・

「・・・一護ー。」
「あ?何だよ。」
「歩くのが面倒だ。押入れまで連れていけ。」
「なっ・・・!」

眠そうに虚ろな目で、両手を前に出して、ルキアは俺にそう言った。

・・・何言い出してんだよ、こいつ。
まだ寝ぼけてんのか?

普段なら流すような事なのに、妙に意識している気がする。

こいつのいつもの我が侭みたいなものなのに。
簡単な事(白玉が食べたいとか)は頼むくせに、重要な事は言いやがらない奴だけど・・・。


「な、何言ってんだ!この距離(ベットから押入れまで)ぐらい自分で行けんだろ!早くどけって!」
「む~、別に良いではないか。連れてってくれぬなら、ここで寝る。」
「はぁー!?」
「・・・おやすみ。」
「お、おい!ルキア!お前、風邪ひくぞ!」

反応が遅い。
・・・言い合いにもなりやしねぇ。

つうか、こいつ無防備すぎんだろ!?
健全な高校男子の前で、何平然と寝ようとしてんだ!?
・・・こんな無防備だから、いつも男共に言い寄られそうになるんd・・・

・・・って、何でいらついてきてんだ俺。
そんな事どうでもいいじゃねぇか。
今と全然関係ねぇし。

懸命に否定するように、また首を振りながら、
今の状況と向き合う事にする。

まだ完璧には寝てないが、時間の問題だ。
それに早くしないと、こいつ本当に風邪ひく可能性がある。

・・・しかたねぇ、運ぶしかない。

「連れてってやるから、背中に乗れ。」とルキアに言うと、ルキアは寝ぼけながらも俺の背中に乗っかってきた。

こいつとは、何かと些細な事でよく言い合いになる。
それがエスカレートすると、取っ組み合いになる事だって何度もあった。
虚を倒しに行く時、こうして背に乗せて行く時だってあった。
その時、あまりの軽さが印象的で思わず声を出したら、何故か大喧嘩になったのも憶えている。

その時は何とも思ってなかったのに・・・今の俺は何だよ。

虚の時の背負った感覚と違う。
寝る寸前で身を完全に預けているからか、柔らかい感覚。
そして、首と肩の辺りにルキアの顔がある状態で、寝息が首筋にかかってきて、非常にやばい。
こいつに聞こえるんじゃないかと思うほど、鼓動が早く、自分でもはっきり聞こえる。

無理やり気持ちを落ち着かせようとして、落とさないようにルキアを押入れに運ぶ。
押入れの中の布団に仕方なく入れてやって・・・こんな事妹達にやるような事なのに。

「・・・おい。タオル一緒に置いておくから、しっかり乾かしてから寝ろよ。」
「うむー・・・」
「おい、わかってんのか?そうしないと風邪ひくぞ。」
「わかっておる。わかっておる。」
「・・・本当にわかってんのかよ。・・・じゃあな。」
「うむ・・・おやすみ、一護ー・・・」

そうして、押入れの戸を閉めた。

はっきり言って、音楽とか聴こうとする余裕がない。
今日の自分は何かおかしいと思って、早く寝ようとする。

・・・しかし、案の定・・・眠れない。
原因は押入れにいる変な居候のせいで。

・・・何でこんな事になったんだっけ?

そうだ、寝ているルキアを見て、やっぱ女なんだと思って。
いつも聞いた事のない声に、ちょっとした仕草・言動に妙に反応して。
それに色々といらついたり、動揺した・・・り?

・・・なんだよ、これ。
これじゃ、まるで・・・


これを認めちゃいけない。

ルキアは死神で、俺は人間だ。

家族の命を守ってくれた事に、俺を助けてくれた事に感謝をしているが、今代わりに死神代行として仕事を手伝っている仕事仲間。
・・・それ以上でも、それ以下でもない。

それを呪文のように何度も繰り返す。


そして、いつもしないのに、布団に包まる様にして無理やり寝ようとした。


あいつを女として、「意識してしまった」?
あいつの仕草・言動に、「どきっとした」?

駄目だ。それを認めたら・・・後戻りできなくなる。

認めてはいけない。
言ってはいけない。


そう半ば強引に結論付けるのは、

この関係が崩れてはいけないのだと思ったから・・・

そんな事・・・絶対に言えない。













あとがき
『絶対に言えない』企画一護×ルキア再録。
その前の『絶対に言えない』企画小説でのルキアの風邪はこれが原因という一護サイドのお話でした。

意識し始めたら、青春イチルキが始まるのだろうなぁ(笑)

憧れの管理人様を始め、リクを頂いたので書かせて頂きました作品です。
本当に有難うございました。

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