--/--/-- (--) スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


2000/01/30 (Sun) 風邪とは違う症状

そうだ。
ありえない話だ。

この私が・・・





「風邪とは違う症状」





現世で、一護と共に行動する事になって1ヶ月が経とうとしている。
初めて体験するような事(高校生活)、始めて見るような物などに驚き、悪戦苦闘しながらも、何とかこちらの生活に慣れ始めてきたある日。

どうも体調が優れない。

体がだるい。
頭が痛いし、普段よりいくらか熱が高い。

この症状から見ても、風邪を引いてしまったようだ。
おそらく風呂上りに、一護のいない間うとうとしてしまったのが原因だと思う。
全く、ふわふわして心地良く、眠気を誘うあの‘ベット’という物は恐ろしい。

普段の状態(死神の状態)でならば、この程度の風邪など大した事ないのに、この義骸に入っていると駄目だ。
普通の人間と同じ能力にしている為か、体が思う様に動かない。
風邪の症状が直接・・・いや、それ以上に、体に伝わってくるような気がする。
またご丁寧に、義骸との連結まで鈍くなるように作られている。

・・・技術開発局の奴らめ、こんな所に余計な技術を使いおって。
こういう時に、普段通りの動きをできるように作れば良いのではないのか?
もし弱っている死神がこのような状態で虚に出会ったらどうするというのだ?
簡単に負けてしまうではないか・・・・・・

あぁ、こんな事を考えているだけでも頭痛がするようになってきた。
頭がうまく働かない、思考力をここまで鈍らせるとは。

このような時に、虚が出ないのはせめてもの救いだ。

・・・と言うか、限界に近い。
この程度なら大丈夫と思っていたが、甘く見ていたようだ。
今やっている授業が終わったら、昼食の時間になる。
その時に、保健室という場所に行こう。
一護が怪我をした時に行った事があるが、あそこにも‘ベット’がある。
それで少し休ませて貰えば、今よりかは良くなるかもしれない。



授業も終わり、目的の場所へと向かう。
もし虚が急に出た時に困るかと思い、一護に一言言うべきかと思ったが、そんなすぐ出るような様子も今日はないし、やめておこう。
理由はよくわからないが、「学校では必要以上に関わるな」と最近になって急に言い出したしな。
何故だろうか?・・・さっぱりわからぬ。


そうして、保健室に向かい歩き出したのは良いのだが、想像以上に歩く事すら困難だと気づく。
朝はここまで酷くなかったのに、これはさすがにまずい。

あぁ、この先階段があるし、そこを乗り越えても、保健室までは結構距離があったはず・・・

考えただけでも、頭がくらくらしてきた。
こんな状態ではいつ保健室で着けることやら・・・


「ねぇ、ねぇ。知ってる?黒崎くん、また喧嘩したんだって。」
「うそ!こわ~い。」
「また他校の生徒とだって。3対1だったのに、黒崎くん楽勝だったって噂だよ。」
「また喧嘩?やっぱり乱暴な人なんだねぇ~。」
「ちょっと怖い感じがカッコイイって思うけど、そんな乱暴な人じゃちょっと近寄れないよね~。」


そんな事を考えていたら、女子生徒達の会話が聞こえてきた。

あぁ、またか・・・

時々、一護の今のような話題を男女問わず、こうして聞く事がある。
素行の悪い生徒達との喧嘩、普通に考えたら不利な状況の中での一護の勝利、・・・そんな情報が一護の評判をより立たせるのだ・・・決して良い評判ではない方に。

こうして、行動を共にする中で、私は何度かそういった場を目にした事がある。

また「喧嘩」?

あれを喧嘩と言うのだろうか?
相手側からの一方的な挑発、理不尽な理由からの喧嘩の申し込み・・・
一護も馬鹿らしいと思っているのだろう。
最初は相手にしないのだが、相手がさらに突っ掛かり、最終的に「黒崎、俺らが怖いのか?」などといった挑発に、一護がしびれを切らして・・・というのが、本当に『喧嘩』と言えるのだろうか?
絡まれている者を一護が助けて・・・というのも良く見るのに、その絡まれた者の中にはこの学校の生徒もいた事もあるのに。
それをも、一護の評判を悪くするたった一言の「喧嘩」で済ませてしまうのだ。

友人数人を除いたここの生徒や教師達は、一護の事をわかっていないのだな。
後から出会った私でさえ、一護はそんな男ではないと数日でわかったのに。


・・・何故だろう、いらいらする。


ん?今の感情はおかしいな。
一護がこれに怒るのはわかるが、私がいらつくのはおかしな事だ。

・・・『‘本当の自分’を見てもらえていないという事に共感を持ったから?』

・・・おそらくそうした理由かもしれない。
客観的な第一印象で自分を見られ、本当の自分を見てもらえていない事に。

だが、何故か最近それとは違う理由からいらつき、それが大きくなっている気が・・・

駄目だ。頭が働かない。
それに、おそらくそれは気のせいだろう。
風邪など引いてしまったから、余計な事にまで考えが及んだ。
・・・きっとそうだ。


「ル・・・朽木!!」


考え事をしながら目的地へと懸命に歩いていると、後ろの方から声が聞こえてくる。
今や後ろを振り返らずとも、誰だかわかるようになってきた声。

「いt・・・黒崎君。」

振り返れば、やはり一護の姿。
視界が少し歪みかけてきてはいるが、こいつのオレンジ色の髪ははっきりとわかる。
これが一護をより目立たせるのかな・・・

「どうしt・・・!!」
「・・・行くぞ。」

最近では、一護の方からこうして声をかけてくるのは珍しいので「どうしたのか」と聞こうとした瞬間、視界がぐらっとなったと思ったら、次の瞬間には一護の背に負ぶさっている形になっていた。

「なっ!い、一護!何を・・・!」
「・・・いいから。黙ってろ。」

小声での会話だったが、一護のその言葉に、次の言葉が出てこなかった。
いつもならお互い怒鳴り合っているのかと思う程の言い合いが当たり前なのに。
いつも言い合いの時より、今の一護の言葉には凄味があるように思えたからかもしれない。

学校の生徒達が、私達を見ている。
一護はそれなど気にも留めず、ずかずかと・・・しかし、その足音より静にそこを通り過ぎて行く。
一護が急いで歩いているので、振動がきついかと思ったが、そのような事は一切なかった。
一護の背は広く、振動はほとんどない。
温かいその背は、何だか妙に落ち着けた。


どうしたのだろう・・・だんだん体が熱くなっていく。

生徒達にこんな状態を見られたから?
一護の背中が落ち着くと思ったから?

・・・違う。
おそらくこれも風邪のせいだ。
風邪で、熱が前より上がってきている・・・きっとそうだ。


しばらくすると、一護が立ち止まった。
目線を上げて場所を確かめてみると、そこは私が目指していた保健室。

そこのドアを開けると、中には保健の教師も生徒もいない。
一護はそれを確認すると、負ぶっていた私を‘ベット’に静に座らせる。

「・・・何で何も言わねぇんだよ。」

色々と聞きたかった私が口を開こうとした時には、一護がそう私に尋ねていた。
いつものような大声で、ではなく静かな声で。

「何を言わなかったと言うのだ?」

急に聞かれたその言葉の意味がわからなかった私は、そう一護に返す。
別に、必要な事は言い忘れた憶えもないし、重要な事を隠している憶えもな・・・

「・・・お前、調子が悪いんだろ?何で何も言わねぇんだよ。」
「え・・・?」
「‘え?’じゃねぇよ。朝から少し変だと思ったら、やっぱり調子が良くねぇんじゃねぇか。どうした、その様子じゃ風邪か?」
「え・・・あ、いや・・・」
「授業の途中でもしんどかったら抜けたっていいんだよ。最近は、虚の感覚もわかってきたし、お前が出て行ったからって『虚か?』なんてもう思わねぇから大丈夫だって。ったく、無理に我慢しやがって。昼になっても言わねぇから、俺から声かけようとしたらふらふらで教室出てやがって。俺にまで気ぃ遣ってんじゃねぇよ。」
「・・・・・」
「おい、大丈夫かよ。ぼーっとして。あー!もう病人にこんなうるさい事言うもんじゃねぇな。・・・ちょっと待ってろ。薬探して来るから。」


・・・何だというのだ・・・

一護は気づいていたのか?

確かに、朝から体調がおかしかった。
でも、しばらくすれば治るかと思って、少し無理をしていたのも本当だ。
急に出て行ったら、一護に色々と迷惑をかけてしまうかと少し心配したのも・・・

無理していても、隠せていると思っていた。
そして、気づかれぬ自信もあったのだ。
・・・昔からずっとそうだったから。
事実、他の周りの人間は何も・・・

それを・・・一護はすべて気づいていたのか?

・・・また体が熱く・・・いや、温かく?
そして、何と表わせばいいかわからないこの気持ちは何だというのだ・・・


一護が薬を持ってきて、私に渡す。

「それで、少し寝てろ。後の授業は、俺がうまく言っておくからよ。」

一護が、私にそう言う。
静かな声に、気づいてみれば優しさのようなものまで加わっている。
いつも時々そうして優しさや気遣いに気づくが、ここまで全面に出す事などないのに。
何だろう、気持ち悪いと言うには違うこの気持ちは。
何だか胸がむずむずする・・・

・・・そうだ。
それは一先ず置いておいて、ここまで世話して貰ったのだから、一護に何か言わなければ。

・・・何と言えば言いのだろうか?


そう私が一護に伝える言葉を考えていると、一護が・・・

「おい、ルキア。」
「・・・ん?え、あ、何だ?」
「今度から何かあったら言えよな。」
「・・・え?」
「だから、俺に気ぃ遣うなって事だよ。こっち(現世)の生活もまだ慣れ始めで大変だろ?まぁ、死神業はまだ俺の事頼りねぇだろうけど、こういう時ぐらいは肩の力抜けって。お前の事情を俺は知ってるわけだし、何でも一人で全部抱え込もうとすんなよ。まだよくわかんねぇけど、何かそういう所あるぞ、お前。わかったか?・・・おい、聞いてんのか?」


・・・あぁ、体のだるさが不思議となくなってきた。
頭の痛みも少しとれてきたように思える。
なのに、体が熱い・・・でも、これは風邪の症状とは違う感じだ。
顔に至っては、焼けるように熱い・・・
それは、つらくはなく、何だか心地良い・・・?

何故だ?何故こんな症状が・・・

そうだ。
言い合いばかりである一護がいつもの違った接し方で、
普段なら言うはずもない言葉を私に・・・

・・・普段なら言うはずもない言葉・・・

それを思い出しただけで、また熱くぼーっとしてきた。
どうして・・・どうしてこんなn・・・

「おい!大丈夫かよ!・・・顔が赤くなってきたぞ。熱が上がったんじゃねぇのか?」
「・・・!!」

私は次の瞬間驚く。
それは、そう言いながら一護の手が私の額を触れてきたから。
何故だろう、またその瞬間急激に体温が上がった気がする。

「た、たわけー!!」

そう叫び、慌てて、一護のその手を振り払う。

別に、一護の行動が嫌だった訳ではない。
そう声をかけたくれた事も、触れられた事も・・・決して嫌だった訳ではなかった。
でも、それを認めてしまうのは駄目だと思ったから・・・

「お、おい!どうしたんだよ!思ったより調子が悪いのか?おい、ルキア!」

多少声を張っているが、頭を痛ませるような音量ではない声で、
その声を聞いただけで、相手を心配していると明らかにわかる声で一護は私に言う。
いつもならこうして怒鳴り合いの喧嘩になっても良い展開だというのに・・・
今日の貴様は何故そんなに優しいのだ?

また体が、顔が焼けるように熱くなっていく・・・
それがまた風邪の症状とは違う、決してつらくはないもので。
・・・心地良いものだとまた思う。

私は一体どうしてしまったというのだ?
・・・あぁ、駄目だ。また頭が働かない。

「寝る!」
「はぁ?」
「・・・少し良くなるまで私は寝る。午後の授業の事は頼むぞ、一護。」

とりあえず頭が働かない今は、寝る事が先決だ。
‘少し寝てろ。後の授業は、俺がうまく言っておくから’と言う一護の言葉に少し甘える事にしよう。


「わかった。じゃあ、静かに寝てろよ。誰か来たら、ちゃんと『調子悪い』って言うんだぞ?じゃあな。」

そう言って、保健室を出る為に一護は立ち上がった。


何か・・・何か言わなければならない。


面倒をかけてしまい、「すまない」?
色々と世話をしてくれて、「ありがとう」?
・・・私の様子に気づいて、心配してくれて、「嬉しかった」?

・・・「嬉しかった」?

私は、何を考えているのだろう。
何故そんな言葉が浮かんでくるのだ・・・
確か・・・一護にすべて見抜かれていた事に驚いて、
でも、気づいてくれた事が、やけに優しいのが嬉しくて、
普段と違う一護に、不意に額を触れられた事に、胸が高鳴っ・・・て・・・

・・・終盤がおかしい。
頭痛により思考が停止するのではなく、自分で思考を停止させる。

もうすべては風邪のせいだと。
風邪など引いてしまったから、余計な事にまで考えが及ぶのだと。
無理やりにでも、結論付けするしかない。

だって、風邪のせいではないと認めてしまったら、
今の気持ちをすべて認めてしまったら、
そしたら、私は・・・

「・・・一護。」
「ん、何だ?」
「あ、・・・また放課後な。」
「あ?おう、放課後な。じゃあな。」



そうだ。
ありえない話だ。

この私が、特別な感情を抱くなど・・・

ましてや、私は死神。一護は人間。
死神に感情などあってはならない。
その私が、そのような感情(もの)を抱くなど、
しかも、その抱いた相手が人間だなんて・・・決してあってはならない話だ。


こう考えてしまう事さえ、許されない事なのに。
それをすべて認めてしまう事など、あってはならない。

そうして、それを素直に言葉にする事が、
私と一護、・・・死神と人間、
その関係を壊してしまう始まりにさえ思えるから・・・


それを一護になど・・・

・・・絶対に言えない。











あとがき
『絶対に言えない』企画一護×ルキアを再録。

無意識いちゃいちゃバカップルでも、
じれったい想いの交錯でも、
甘々なラブい二人でも・・・

どんな関係でもイチルキは萌えです。

スポンサーサイト

駄文小説 |


| TOP |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。