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2009/07/14 (Tue) 雨宿り

どこか向こうへ行ってしまいそうな時は、
今を思い出せる場所で、雨宿りを。





「雨宿り」





「わりぃな。ちょっと雨宿りさせてくれ。」

そう言って、銀さんが尋ねて来た。

雨で濡れている訳でもない。
傘はちゃんと差していた。

それなら早く家に帰ればいいのにとも思ったが、
折角来てくれたのだからと家に上げる。

お茶を出すと、「わりぃな。」とお茶を啜りながら銀さんは外を見ていた。

何だか悲しそうな、
遠くにいってしまいそうな顔。
今まで見た事がない。


「雨は嫌いですか?」


自分でも気づかず、銀さんにそう問いかけてしまった。
私を見ながら、銀さんは驚いた顔をする。


しまった。
相手の踏み入れてはならない所に、土足で入るような事を。


慌てて謝ろうとすると、銀さんが外を見ながら言う。

「この時期の雨は何だかなぁ。昔の仲間が呼んでるような気がしてよ。そんな事思ってたら、丁度お前の家の近くだったんでな。ちょっと上がらせてもらった訳よ。」


詳しい事はわからない。
でも、昔の話と関係があるのは確かで。

そして、それは今を思い出すものが見つからなければ、遠くへ行ってしまいそうな言い様で。


そう思っていると、銀さんが立ち上がった。

「悪かったなぁ。雨も止みそうだし、そろそろ家に戻るわ。」


玄関まで見送り、「じゃあな。」と言う銀さんに私は言う。

「・・・銀さん。」
「あ?」
「またそんな時があったら、気軽にうちに寄って下さい。お茶でも・・・なんなら、食事でも作ってあげるわ。」

それを、聞いた銀さんは「食事は遠慮しておくわ。」と言いつつも、微笑みながら手を振り、うちを後にする。


この気持ちが何であるかはわからない。


でも、あの人が遠くへ行ってしまうのは嫌だ。

もしこんな事で、あの人がどこか遠くへ行ってしまわないのなら・・・

喜んで、雨宿りの場所になろう。





どこか向こうへ行ってしまいそうな時は、
今を思い出せる場所で、雨宿りを。








あとがき
銀妙小説再録。
銀さんは未だ過去話が深く話されていませんが、お妙さんには後々少しずつ話してほしいなと思いながら書かせて頂きました。

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