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2009/06/09 (Tue) 二人の距離、繋がれた手




貴方と私との距離は一歩半。

貴方は人間。私は死神。

生と死、太陽と月、黒と白。
それくらい交わらないという大きな壁。
踏み出してはいけないような大きな一歩。

その大きな一歩を、勇気を出して踏み出しても、貴方と私には僅かな距離がある。

・・・それは、お互いがそれに気づいているという半歩。





「二人の距離、繋がれた手」





「・・・おせーんだよ、お前。」
「む。言わせてもらうが、貴様が早いのだ。」
「何だよ、これでもゆっくり歩いてんだよ!」
「私だって、これでも早く歩いているのだ!」
「・・・相変わらず口数の減らねぇ奴。」
「どっちがだ。」


学校が終わっての帰り道。
私と一護は並んで帰る。

・・・いや、正確には並んでいない。
だからこうして、いつものように言い合いになっているのだから。

いつもこうして歩く時、私と一護の間に少し距離ができる。

それは自然とできている距離。
身長差関係なく、私が早く歩いたとしても、一護がゆっくり歩いたとしても、それは自然とできている距離。

思い切って大きく踏み出しても、僅かに距離があって並ぶ事ができない。
一護の所まで届かない。

その距離は、ちょうど一歩半。

一護に助けられ、再びこうして共に過ごしても、
それは自然とできている。

一番近くにいるのに、こうしてできる僅かな距離は、
決して、故意に作っているわけではない。
況してや、避けて作っているわけでもない。

おそらく、それはお互いが気づいているから。

私は死神で、一護は人間。
こうして出会っている事すらいけないのだから、
この関係を崩してはいけないのだと。

お互いが気づいているからだと思う。


それに、私はこの距離が好きだ。

オレンジ色の髪。
死を覚悟した時に無意識に浮かび、救ってくれた時を思い出す後姿。

ずっと見ていたいと思うこの距離が私は好きだ。

同時に、‘近づきたい’とも思う。
最近の私はおかしい。

そのような事を望んではいけない。
態度に出す事はもちろん、こうした感情を抱く事さえ許されない。

そう何度も自分自身に言い聞かせる。


そんな事を考えていると、気づけば人通りの多い道へと入っていた。

この距離で、この人の多さは少しまずい。
気を抜くと、一護を見失ってしまうからだ。

この距離を保ちながら、
懸命に人込みを掻き分けて、
一護の背中を追っていく。

(どんっ)
「あ、すみませんっ。」

それに集中し過ぎてか、不覚にも人と当たってしまい、その人に謝る。

急いで、前を向くと・・・一護の姿がない。

しまった、少し目を離してしまったから。
一護を見失ってしまった。
この人の多さでは見つけるのも難しい・・・


“・・・嫌だ、置いていかないで・・・”
“一護、何処だ?何処まで行ってしまった?”
“・・・一護。・・・一護!!”

頭の中で、何故かそう叫んでいる。
しかし、決して口にはしない。

だって、それを口にしてしまったら・・・


「・・・おい、何こんなとこでぼーっと突っ立ってんだよ。」

後ろの方から声がする。
聞いた瞬間、不思議と安心する声。

「・・・一護?」

後ろには一護がいた。
少し息が上がっているように見える。何故だ?

「‘一護?’じゃねぇよ!急にいなくなりやがって・・・少し焦ったじゃねぇか・・・」
「え・・・?」
「な、何でもねぇーよ!」

・・・焦った?
捜してくれたのか?

急に、胸の方から温かくなっていく。

この感じは何だろう。
・・・いや、もうわかっている。

『嬉しい』という感情だ。
いなくなった事に気づいてくれて、急いで捜してくれて、
そして、こうして私を見つけてくれた事が。
嬉しいと思ったのだ。

こういった感情を抱く事は何度もある。
そして、態度には出すまいと、気づいても気づいていないふりをするのだ。

私は死神で、一護は人間。
こうして出会っている事すらいけないのだから、
この関係を崩してはいけないのだと。

決まり事のように、自分の中で繰り返す。

今回もそうしよう。
その後、いつものように突っ掛かるような事を言ってs・・・

「あー!もう面倒くせぇー!!」

私が気持ちを落ち着かせようとしていると、一護が急にそう叫ぶ。

さらに、一護は続けて・・・

「前から思ってて気にしないようにしてたけど、こう距離が開くと色々面倒くせぇーって言ってんだよ。」
「面倒!?どういう意味だ!」
「今の状況でわかんだろ!急にお前いなくなったりするしよ。・・・お前、小さいし、見つけづれぇ。」
「ち、小さいだと!!これも、貴様が早く歩いてるからではないか!」
「・・・うわぁ、俺のせい!?」
「もっとゆっくり歩け!」
「お前が早く歩けよ!」

永久に勝敗のつかないようないつもの言い合いが始まる。
こうなると、私も一護も止まらない。

「あー!これじゃ埒が明かねぇ!」
「それはこちらの台詞だ!」
「・・・・・・」
「む・・・一護?急に黙り込んでどうした?」

言い合いの中、急に一護が黙り込んだ。

そして、頭をがしがし掻いた後に、一護が再び口を開く。

「こうなるのも面倒なんだよ。・・・だ、だから、おら。」
「え・・・」

そう言って、私の前に手を差し伸べてきた。
驚きからか、私は思わず声を出す。

「こうすれば、逸れる事もねぇだろ。」
「え?あ、うむ・・・」

一護にそう言われて、一護の手の上に自分の手を乗せた。
まるで、こうした事を望んでいたかのように素直に手を伸ばせた気がする。

「おし。じゃあ、帰るぞ。」
「う、うむ。」

そうして、一護が私の手を強く握り締めて、歩き出す。
それに少し当惑しながらも、私も懸命に握り返して、歩き出した。


今の一護と私の距離はなく、帰り道を並んで歩く。
だからと言って、特に話すこともない。
しかし、この何とも言えない気持ちが心地良い。


ああ、一護が隣にいる、この距離も好きだと気づく。
一護の横顔をこうした形で見るのも新鮮だ。
一護の顔が少し赤いのは気のせいか?
この顔の火照りからして、たぶん私の顔は赤いだろう。


今の一護と私の距離はなく、帰り道を並んで歩く。
だからと言って、特に話すこともない。
しかし、この何とも言えない気持ちが心地良い。

こうしてる中でも、自分達の間の問題や関係を考えてみるのだが・・・

不思議なものだ。
そうした考えていたものが、小さなものだと思えてしまうほど、
今の気持ちの大きさに支配されているようで・・・
一護がこうして引っ張ってくれているからだろうか・・・


今の一護と私の距離はなく、帰り道を並んで歩く。
だからと言って、特に話すこともない。
しかし、この何とも言えない気持ちが心地良い。

そして・・・

強く握り締めてくれたこの手を離さないでほしい。
強く握り締めたこの手を離したくない。

・・・そう思った。



貴方と私との距離は一歩半。

貴方は人間。私は死神。

生と死、太陽と月、黒と白。
それくらい交わらないという大きな壁。
踏み出してはいけないような大きな一歩。

その大きな一歩を、勇気を出して踏み出しても、貴方と私には僅かな距離がある。

・・・それは、お互いがそれに気づいているという半歩。

でも・・・

・・・今の貴方と私との距離は?













あとがき
アンケートリクエスト最終15弾・一護×ルキアを再録。

アンケートリクエストという企画、最終はやはりイチルキと決めていました。

全くもって、何を比べても対比な関係のイチルキ。
凄く萌えます。

それでいて、対比的な関係ですが、二人は結構似てるよなぁとも個人的に思います。
それもあるのでさらに萌え。

また関係性を距離で表しても良し。
表さないでやっても良し。
そんなイチルキが大好きです。


大変な問題ゆえに、自然と出来てしまう距離。
そんな大きな問題も「気にするな!」と言えるくらいな感じを出したくての作品。
一護が打破してくれそうかと(笑)
そんな事を願いつつの作品でした。

BGMは、『Remember』(リップスライム×モンゴル800)

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