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2000/01/31 (Mon) それはある夜の出来事




そう半ば強引に結論付けるのは、

この関係が崩れてはいけないのだと思ったから・・・





「それはある夜の出来事」





一通りのやる事を済ませて風呂から出た時には、11時を回っていた。

少し前までなら、この後音楽でも適当に聴いて寝るだけの高校生活だったが、今は‘変な居候’のせいで普通なら考えられない、世界が180度変わったような生活をしている。

世界が180度変わった生活、それは死神代行。
どこから説明していいのかわからないくらい色々な事があって、死神になった俺もこの仕事を始めて1ヶ月が過ぎようとしている。
どんな時でも虚って奴は出やがるから、学校を抜けなきゃいけなかったり、睡眠時間削られたりで何かと面倒だと思っていたが・・・

何でだろう。
最近、自分の気持ちが充実しているように思える。

理由を深く考えた事はないが、こんな生活もありかと思えてきているので、まぁ、いい事にしたい。

髪を拭きながら自分の部屋に着いてドアを開けると、少し前からいなかった‘変な居候’が俺のベットを占領していた。

最初の方でも言った‘変な居候’。そいつの名前は朽木ルキア。
俺にこの力をくれた死神だ。
特技は猫かぶり。普段では想像もつかないほどのお嬢キャラを学校で演じている。
意識してなかったが、最初からお互い下の名で呼び合っていたと思う。
いつだったろう、何でか自分の名前の由来を説明した時、「・・・そうか。良い名だな。」と言った笑顔が印象深い。
基本的に(こっち(現世)の知識ゼロ故に)変な奴だが、最初から不思議と信頼できた。

そんなルキアが、俺のベットを占領している。
「ふわふわして心地良い!一護、何だこれは!」と興味を持ち、今やこいつのお気に入りで、最近は占領される頻度が高いんだけど。

少し前からいなかったが、こうしてすぐに帰ってきたって事は風呂を借りに行っていたのだろう。
最初の頃は俺が見張ってうちの風呂を使っていたが、色々と危険だという事で少し前からよくわからない商人・ゲタ帽子の所に行って風呂を借りているらしい。

「おい、ルk・・・!」

ベットから退いてもらわないと困るし、俺が入ってきても気づかなかったので声をかけようとしたが、ルキアの背中が一定のリズムでゆっくり動いているのに気づいて、それをやめた。

・・・こいつ、寝てやがる。


こいつとは、何かと些細な事でよく言い合いになる。

変に起こして、またそうして言い合いになるのは御免だし、この時間帯(夜中)でその展開だけは避けたい。
しかし、このままだと風邪をひくと思い、静かにルキアに近づき、正面から起こそうと手をのばした瞬間、ふわっとルキアの方から来たシャンプーの香りで俺はその動きを止めた。

甘い香りがする。
急いで帰ってきたのか、髪の毛が乾ききっていないし、
風呂上がりのせいか、頬が少し赤い。

動きを止めた俺は、そうして何故かルキアを観察していた。

・・・こいつとは、何かと些細な事でよく言い合いになる。
それでなのか、結構な時間一緒にいるけど、こうしてこいつをじっくり見るのは初めてだ。

前から思っていたが、本当に小さい。
俺の10倍は生きていると言って、いつも偉そうにしているが、この容姿だけ見たら、俺の妹達の識別に近い。(現に、遊子のパジャマ着てるし。)
その上、押入れに住みついているから、2×世紀からやってきたどこぞのロボットのような認識もあったんだが・・・

なんだよ、その寝た格好は。

普段から小さいのに、さらに小さく丸まって寝ている。
猫やうさぎ・・・そんな小動物のようだ。
初めて会った時から印象的だった大きな目は、閉じていても改めて大きいと感じさせる。
それに、睫毛が思った以上に長い。
見た目からもそうだし、負ぶった事もあるからわかるが、軽い小柄な体格ゆえに、腕や足も異常なほど細い。

・・・こうして見ると、こいつも女なんだよな。

ふと、そう思った。
顔も綺麗に整ってるし、この容姿なら男子生徒が騒ぐのもわかる気が・・・

・・・って、何考えてんだ、俺。

今まで気に留めてない事を考え出したら、結構意識していたかのような考えを懸命に否定するように首をぶんぶん振る。


ルキアは死神で、俺は人間だ。

家族の命を守ってくれた事に、俺を助けてくれた事に感謝しているが、今代わりに死神代行として仕事を手伝っている仕事仲間。
・・・それ以上でも、それ以下でもない。

それを呪文のように何度も繰り返す。

理由ははっきりしない。

そう半ば強引に結論付けるのは、この関係が崩れてはいけないのだと思ったから。
今の感情を認めてしまったら、今思った事や考えを認めてしまったら、今の関係が崩れてしまうと思ったから・・・。

・・・何かおかしい。
今までそんな事考えた事もなかったのに。

そうだ。こいつがここで寝てて、見ていたのが原因だ。

半ば無理やり相手のせいにして、再び起こそうと手をのばす。

すると・・・

「・・・んっ・・・」

ルキアが寝返りを打つ。
そして、息を吐くと同時にそんな声を洩らした。

誰もが寝ている時に一度は出すであろう声。
しかし、今まで聞いた事のない声が、色っぽく思えた。
普段色気なんて無縁であるルキアを見てきたから、余計そう感じたのかもしれない。

風呂から上がり、下がりつつあった体温が再び上がったように思える。
その上、顔が異常に熱い。

・・・どうしちまったんだよ、俺。


こいつとは、何かと些細な事でよく言い合いになる。
それがエスカレートすると、取っ組み合いになる事だって何度もあった。

その時、こいつに触れている事に特別意識した事なんてなかったのに、今はただ起こそうとするだけの手さえ止まったままだ。

「おい、ルキア!」

ルキアを触れられずに色々と考えていたら、思わず大声でそう叫んでいた。
自分でも驚くような大声に、妹達が起きてしまったのではないかと心配したが大丈夫そうだ。

「・・・ん・・・いち、ご?」

その声に反応して、ルキアが起きた。
余程ベットが気持ち良かったのか、少し寝ぼけている状態で俺の名前を呼んでいる。

何でだろう。
こいつがいつもと違って見える気がする。

目をごしごし擦って、眠気を覚まそうしている。
餓鬼くさい仕草が、今日は何故か女っぽく見えた。

・・・ったく、何なんだよ。

「もう風呂から上がったのか?」
「‘もう’ってなんだよ。おら、そこは俺のベットなんだからどけ。俺も寝るから、お前も寝ろ。」
「む~・・・」

普段通りに会話をしようとするが、ちょっとおかしい気がする。
それに、こいつまだ寝ぼけてやがるし・・・。

すると、ルキアが・・・

「・・・一護ー。」
「あ?何だよ。」
「歩くのが面倒だ。押入れまで連れていけ。」
「なっ・・・!」

眠そうに虚ろな目で、両手を前に出して、ルキアは俺にそう言った。

・・・何言い出してんだよ、こいつ。
まだ寝ぼけてんのか?

普段なら流すような事なのに、妙に意識している気がする。

こいつのいつもの我が侭みたいなものなのに。
簡単な事(白玉が食べたいとか)は頼むくせに、重要な事は言いやがらない奴だけど・・・。


「な、何言ってんだ!この距離(ベットから押入れまで)ぐらい自分で行けんだろ!早くどけって!」
「む~、別に良いではないか。連れてってくれぬなら、ここで寝る。」
「はぁー!?」
「・・・おやすみ。」
「お、おい!ルキア!お前、風邪ひくぞ!」

反応が遅い。
・・・言い合いにもなりやしねぇ。

つうか、こいつ無防備すぎんだろ!?
健全な高校男子の前で、何平然と寝ようとしてんだ!?
・・・こんな無防備だから、いつも男共に言い寄られそうになるんd・・・

・・・って、何でいらついてきてんだ俺。
そんな事どうでもいいじゃねぇか。
今と全然関係ねぇし。

懸命に否定するように、また首を振りながら、
今の状況と向き合う事にする。

まだ完璧には寝てないが、時間の問題だ。
それに早くしないと、こいつ本当に風邪ひく可能性がある。

・・・しかたねぇ、運ぶしかない。

「連れてってやるから、背中に乗れ。」とルキアに言うと、ルキアは寝ぼけながらも俺の背中に乗っかってきた。

こいつとは、何かと些細な事でよく言い合いになる。
それがエスカレートすると、取っ組み合いになる事だって何度もあった。
虚を倒しに行く時、こうして背に乗せて行く時だってあった。
その時、あまりの軽さが印象的で思わず声を出したら、何故か大喧嘩になったのも憶えている。

その時は何とも思ってなかったのに・・・今の俺は何だよ。

虚の時の背負った感覚と違う。
寝る寸前で身を完全に預けているからか、柔らかい感覚。
そして、首と肩の辺りにルキアの顔がある状態で、寝息が首筋にかかってきて、非常にやばい。
こいつに聞こえるんじゃないかと思うほど、鼓動が早く、自分でもはっきり聞こえる。

無理やり気持ちを落ち着かせようとして、落とさないようにルキアを押入れに運ぶ。
押入れの中の布団に仕方なく入れてやって・・・こんな事妹達にやるような事なのに。

「・・・おい。タオル一緒に置いておくから、しっかり乾かしてから寝ろよ。」
「うむー・・・」
「おい、わかってんのか?そうしないと風邪ひくぞ。」
「わかっておる。わかっておる。」
「・・・本当にわかってんのかよ。・・・じゃあな。」
「うむ・・・おやすみ、一護ー・・・」

そうして、押入れの戸を閉めた。

はっきり言って、音楽とか聴こうとする余裕がない。
今日の自分は何かおかしいと思って、早く寝ようとする。

・・・しかし、案の定・・・眠れない。
原因は押入れにいる変な居候のせいで。

・・・何でこんな事になったんだっけ?

そうだ、寝ているルキアを見て、やっぱ女なんだと思って。
いつも聞いた事のない声に、ちょっとした仕草・言動に妙に反応して。
それに色々といらついたり、動揺した・・・り?

・・・なんだよ、これ。
これじゃ、まるで・・・


これを認めちゃいけない。

ルキアは死神で、俺は人間だ。

家族の命を守ってくれた事に、俺を助けてくれた事に感謝をしているが、今代わりに死神代行として仕事を手伝っている仕事仲間。
・・・それ以上でも、それ以下でもない。

それを呪文のように何度も繰り返す。


そして、いつもしないのに、布団に包まる様にして無理やり寝ようとした。


あいつを女として、「意識してしまった」?
あいつの仕草・言動に、「どきっとした」?

駄目だ。それを認めたら・・・後戻りできなくなる。

認めてはいけない。
言ってはいけない。


そう半ば強引に結論付けるのは、

この関係が崩れてはいけないのだと思ったから・・・

そんな事・・・絶対に言えない。













あとがき
『絶対に言えない』企画一護×ルキア再録。
その前の『絶対に言えない』企画小説でのルキアの風邪はこれが原因という一護サイドのお話でした。

意識し始めたら、青春イチルキが始まるのだろうなぁ(笑)

憧れの管理人様を始め、リクを頂いたので書かせて頂きました作品です。
本当に有難うございました。

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駄文小説 |


2000/01/30 (Sun) 言ったら負け

はぁ、はぁ・・・!

思い切り走り続けているので、息が詰まりそうだ。

・・・でも、今そんな事言っている場合じゃn・・・!・・・

・・・見つけた。

「一護・・・!」





「言ったら負け」





「・・・あんた、どうしたの?その傷。」
「これか?・・・まぁ、いつもの・・・」
「あんた、また喧嘩?いい加減にしなよ~、ほんとに。」
「・・・お前が言える台詞か、それ?」
「はぁ!?どういう意味よ、それ!」

それは、いつものあたしと一護のやりとり。
前の日に、どちらかが(売られた)喧嘩をした次の日、相手の傷を気にしつつも、結局は言い合いになる。


それは、いつものあたしと一護のやりとり。
少しいつもより傷が多い事を気にしたけど、いつもと変わらないあいつの顔を見て、今日もまた言い合いになる。
いつもと変わらないやりとり。


放課後、先に帰るあいつに「あまり安い買い物すんなよ!」と言い、「お前もな!」とあいつが返す。

そう、冗談交じりのいつもの変わらないあたしと一護のやりとり・・・のはずだった。


いつもと違う事に気づいたのは、あいつが帰り少し経って、階段の下から聞こえた男子生徒達の話を聞いた時。

「俺、友達(ダチ)と昨日帰り道にガラ悪い奴らに会ってさ~。」
「何だよ、いきなり。」
「まぁ、聞けって。ほら、隣の中学のガラ悪い連中いるじゃん?」
「あー!結構有名な連中だろ?」
「そうそう!それでさ、そいつら5、6人でうちの校門まで来てさ。丁度、帰る途中で校門通ってた俺達に話しかけてきたんだよ。」
「お、おい。マジかよ・・・お前、絡まれたのか?」
「違う、違う。聞かれたんだ、『有沢たつきはどこだ?呼んで来い。』って。」
「あ、有沢って空手の強い奴だろ?何でまた・・・」
「俺が知るかよ・・・。でも、そいつら、リベンジっぽかったから、有沢と何かあったんじゃねぇの?」
「・・・でも、相手は女だぜ。そんな男5、6人でリベンジって・・・」
「俺もそれは思ったんだけどさ~、言える訳ねぇじゃん。そしたらさ、そいつらに俺や今、お前が言った事を言った奴がいんだよ。『女相手に、男が大勢で卑怯だな、てめぇら。』って。」
「はぁ!?誰だよ!お前の友達(ダチ)か?」
「そんな訳ねぇだろ~。ほら、黒崎っているだろ?あのオレンジ色の頭の。」
「ああ、うちの中学じゃ有名だもんな。見るからにガラ悪そうだし。で、その黒崎がそう言って、黒崎の他は?」
「いや、1人だった。」
「はぁー!?1人で!?」
「そう。それで、そいつらそれにキレて、黒崎連れてどっか行っちゃってさ~。」
「・・・ど、どうなったんだろうな?」
「俺達が見に行けるかよ・・・。でも、今日、他の友達(ダチ)に聞いたんだけど、黒崎とそいつらがやり合っているのたまたま見たらしくてさ。」
「マジ!?それで、黒崎は?」
「今日、学校来てただろ?それが結果だよ。」
「・・・って事は・・・」
「怪我はしたけど、黒崎は無事。隣の中学の連中は皆倒れてたってさ。友達(ダチ)はその喧嘩の終わった所を見かけただけらしいけど。」
「わぁ~、黒崎こえぇ~。」


その後、男子生徒達が何を話していたかはわからない。

あたしは、そこまで聞いた所で、あいつを追って走っていた。


隣の中学の連中・・・
たぶん、この前にうちの生徒からカツアゲしようとしているのをたまたま見かけて、あたしが相手した奴だ。
結果はあたしの圧勝だった・・・けど、あの時は確か1人だったはず。

おそらくああいった系統の短絡的な考え‘1人でダメなら仲間何人連れてでも、負けた相手にリベンジしに・・・’という事で、あたしの所に来たんだろう。
その時に、たまたま一護がそれを聞いて・・・


・・・って事は、あいつのあの傷は全部昨日の喧嘩の傷で・・・
・・・あの傷は全部あたしのせいじゃないか。


・・・・・・くそ!
何で、こんな事に・・・
あたしが喧嘩の後に、何かむかつくような事をそいつに言った!?
っていうか、頼んでもないのに、何で一護の奴首突っ込んだ!?
何で、何で・・・こんな事に・・・


・・・駄目だ。
さっきの男子生徒達の会話で動揺してなのか、全力で走っているからなのか、思考が全然まとまらない。


はぁ、はぁ・・・!

思い切り走り続けているので、息が詰まりそうだ。

・・・でも、今そんな事言っている場合じゃn・・・!・・・

・・・見つけた。

「一護・・・!」


やっと見つけた一護に、あたしは大声で呼びかけた。

「・・・お、たつき。何だよ、そんな急いで来て・・・何か俺に言い忘れた事があったのか?」

全力で走ってきたあたしは、膝に手をつきながら呼吸を急いで整える。
そんな状態で下を向いていたあたしだけど、いつもと変わらない一護の声があたしの耳に届いた。


こんな時、何て言えばいい。
っていうか、何でこいつはこんな普通なんだ。


「何で、あたしに言わなかったの!!」
「・・・はぁ!?」

この言葉の選択が正しくないのは、すぐにわかっていた。
こんな事で言い合おうとなんて思ってないのに、頭の中がぐちゃぐちゃで止まらない。

「昨日の喧嘩の事、何であたしに言わない!その傷、本当はあたしが負うはずだった傷だろ!?あたしの喧嘩だったんだよ!何であんたが怪我してんだ!何で勝手に首突っ込んだ!頼んでねぇよ!ふざけんな!・・・何で、何で、いつもあんたは・・・!!」
「・・・・・わりぃ。だから泣かないでくれよ、たつき・・・」
「・・・!!」
「・・・とりあえず、そこら辺の座れる所行こうぜ。」


一護の言葉で、自分が知らないうちにボロボロ泣いていた事に気づく。

何なんだ、そんな柄じゃないだろ、あたしは。

頭の中がめちゃくちゃだ。
何言ってたか、全然わからない。
こんな事言いたかったんじゃない。
こんな泣きたかった訳でもない。

どうして・・・どうして・・・


「・・・腹が立ったんだよ。」
「え・・・」

近くで座り込んで、頭の中を整理している所、一護が口を開いた。

「お前が、つまらねぇ喧嘩なんか売る訳ねぇってわかってる。野郎が6人、その内の一人がお前の名前を言って『呼んで来い』って言ってたのを聞いた。それで、大体お前が何したかとか、大体想像がつくだろ?腹が立ったんだ。お前が強い、弱い関係なく、女一人にそんな大人数っていうのが。だから、そん時思った事を言ってやってだけなんだよ。」
「『女相手に、男が大勢で卑怯だな、てめぇら。』ってか?」
「・・・よくご存知で。」
「・・・だからって、そんな無茶なこt・・・」
「嫌なんだよ。誰かが傷つくのは、‘もう’・・・」
「あ・・・」


嬉しいという感情に似たものが芽生えかけた瞬間、最後の言葉であたしは自分の事より一護の方に意識がいく。


・・・一護は小さい頃から泣き虫だ。
いくら大きくなって、あたしの背を抜いても、
いくらあたしより強くなっても、
いくら眉間にしわを寄せて、怖そうな顔になっても、
・・・こいつが泣き虫だというイメージは変わらない。


眉間にさらにしわを寄せたこいつの顔は、一見怖さを増した様に見えるけど、
あたしには今にも泣きそうな顔にしか見えない。



「・・・その傷、大丈夫なの?」
「ん?ああ、楽勝。」
「・・・嘘つけ。」
「嘘じゃねぇって。」
「・・・何で、言わなかったの?」
「男はそういうもんなんだよ。・・・鈍感だな、お前は。」
「はぁ?何だそれ。」
「・・・もういいだろ。っていうか、もう落ち着いた?」
「・・・(コク)」
「おし。じゃあ、帰るぞ。」


落ち着いたのは間違っていないが、何だか子ども扱いされているようで少しむかつく。


こいつの並んで歩く帰り道。

・・・そうだ、あたしはこいつに結局何が言いたかったのだろう。


あたしのせいで怪我をさせて、「ごめん」?
結果的に助けてくれたって事だから、「ありがとう」?
考えが突っ走り気味なこいつに、「無茶はするな」?


・・・何だろう、これが正しいような気もするが、そうでない気も・・・

でも、無茶して自分で勝手に首突っ込んだんだよな。
あたしが知る事がなかったら、こいつずっと言わない気だったし。
それに、今回、妙に子ども扱いされた感じが・・・
何だかモヤモヤするし・・・むかつく・・・


「・・・一護。」
「ん?」
「・・・バーカ。」
「はぁ!?」


この言葉の選択が正しいとは思わない。

でも、気持ちの整理がつかない。


「ありがとう」?
「ごめん」?


その言葉は、今回何だか負けたように思えるし、

・・・悔しいから絶対に言ってやらない。










あとがき
『絶対に言ってやらない』企画、一護×たつきを再録。

私が書かせて頂いている一護とたつきちゃんの話の中では、いつも×傾向(カップリング)より+傾向(幼馴染、恋愛感情より友情感情)が強いのですが、この話は珍しく×傾向強めです。

幼馴染の関係は色々と妄想できますね・・・(←変態)



駄文小説 |


2000/01/30 (Sun) 風邪とは違う症状

そうだ。
ありえない話だ。

この私が・・・





「風邪とは違う症状」





現世で、一護と共に行動する事になって1ヶ月が経とうとしている。
初めて体験するような事(高校生活)、始めて見るような物などに驚き、悪戦苦闘しながらも、何とかこちらの生活に慣れ始めてきたある日。

どうも体調が優れない。

体がだるい。
頭が痛いし、普段よりいくらか熱が高い。

この症状から見ても、風邪を引いてしまったようだ。
おそらく風呂上りに、一護のいない間うとうとしてしまったのが原因だと思う。
全く、ふわふわして心地良く、眠気を誘うあの‘ベット’という物は恐ろしい。

普段の状態(死神の状態)でならば、この程度の風邪など大した事ないのに、この義骸に入っていると駄目だ。
普通の人間と同じ能力にしている為か、体が思う様に動かない。
風邪の症状が直接・・・いや、それ以上に、体に伝わってくるような気がする。
またご丁寧に、義骸との連結まで鈍くなるように作られている。

・・・技術開発局の奴らめ、こんな所に余計な技術を使いおって。
こういう時に、普段通りの動きをできるように作れば良いのではないのか?
もし弱っている死神がこのような状態で虚に出会ったらどうするというのだ?
簡単に負けてしまうではないか・・・・・・

あぁ、こんな事を考えているだけでも頭痛がするようになってきた。
頭がうまく働かない、思考力をここまで鈍らせるとは。

このような時に、虚が出ないのはせめてもの救いだ。

・・・と言うか、限界に近い。
この程度なら大丈夫と思っていたが、甘く見ていたようだ。
今やっている授業が終わったら、昼食の時間になる。
その時に、保健室という場所に行こう。
一護が怪我をした時に行った事があるが、あそこにも‘ベット’がある。
それで少し休ませて貰えば、今よりかは良くなるかもしれない。



授業も終わり、目的の場所へと向かう。
もし虚が急に出た時に困るかと思い、一護に一言言うべきかと思ったが、そんなすぐ出るような様子も今日はないし、やめておこう。
理由はよくわからないが、「学校では必要以上に関わるな」と最近になって急に言い出したしな。
何故だろうか?・・・さっぱりわからぬ。


そうして、保健室に向かい歩き出したのは良いのだが、想像以上に歩く事すら困難だと気づく。
朝はここまで酷くなかったのに、これはさすがにまずい。

あぁ、この先階段があるし、そこを乗り越えても、保健室までは結構距離があったはず・・・

考えただけでも、頭がくらくらしてきた。
こんな状態ではいつ保健室で着けることやら・・・


「ねぇ、ねぇ。知ってる?黒崎くん、また喧嘩したんだって。」
「うそ!こわ~い。」
「また他校の生徒とだって。3対1だったのに、黒崎くん楽勝だったって噂だよ。」
「また喧嘩?やっぱり乱暴な人なんだねぇ~。」
「ちょっと怖い感じがカッコイイって思うけど、そんな乱暴な人じゃちょっと近寄れないよね~。」


そんな事を考えていたら、女子生徒達の会話が聞こえてきた。

あぁ、またか・・・

時々、一護の今のような話題を男女問わず、こうして聞く事がある。
素行の悪い生徒達との喧嘩、普通に考えたら不利な状況の中での一護の勝利、・・・そんな情報が一護の評判をより立たせるのだ・・・決して良い評判ではない方に。

こうして、行動を共にする中で、私は何度かそういった場を目にした事がある。

また「喧嘩」?

あれを喧嘩と言うのだろうか?
相手側からの一方的な挑発、理不尽な理由からの喧嘩の申し込み・・・
一護も馬鹿らしいと思っているのだろう。
最初は相手にしないのだが、相手がさらに突っ掛かり、最終的に「黒崎、俺らが怖いのか?」などといった挑発に、一護がしびれを切らして・・・というのが、本当に『喧嘩』と言えるのだろうか?
絡まれている者を一護が助けて・・・というのも良く見るのに、その絡まれた者の中にはこの学校の生徒もいた事もあるのに。
それをも、一護の評判を悪くするたった一言の「喧嘩」で済ませてしまうのだ。

友人数人を除いたここの生徒や教師達は、一護の事をわかっていないのだな。
後から出会った私でさえ、一護はそんな男ではないと数日でわかったのに。


・・・何故だろう、いらいらする。


ん?今の感情はおかしいな。
一護がこれに怒るのはわかるが、私がいらつくのはおかしな事だ。

・・・『‘本当の自分’を見てもらえていないという事に共感を持ったから?』

・・・おそらくそうした理由かもしれない。
客観的な第一印象で自分を見られ、本当の自分を見てもらえていない事に。

だが、何故か最近それとは違う理由からいらつき、それが大きくなっている気が・・・

駄目だ。頭が働かない。
それに、おそらくそれは気のせいだろう。
風邪など引いてしまったから、余計な事にまで考えが及んだ。
・・・きっとそうだ。


「ル・・・朽木!!」


考え事をしながら目的地へと懸命に歩いていると、後ろの方から声が聞こえてくる。
今や後ろを振り返らずとも、誰だかわかるようになってきた声。

「いt・・・黒崎君。」

振り返れば、やはり一護の姿。
視界が少し歪みかけてきてはいるが、こいつのオレンジ色の髪ははっきりとわかる。
これが一護をより目立たせるのかな・・・

「どうしt・・・!!」
「・・・行くぞ。」

最近では、一護の方からこうして声をかけてくるのは珍しいので「どうしたのか」と聞こうとした瞬間、視界がぐらっとなったと思ったら、次の瞬間には一護の背に負ぶさっている形になっていた。

「なっ!い、一護!何を・・・!」
「・・・いいから。黙ってろ。」

小声での会話だったが、一護のその言葉に、次の言葉が出てこなかった。
いつもならお互い怒鳴り合っているのかと思う程の言い合いが当たり前なのに。
いつも言い合いの時より、今の一護の言葉には凄味があるように思えたからかもしれない。

学校の生徒達が、私達を見ている。
一護はそれなど気にも留めず、ずかずかと・・・しかし、その足音より静にそこを通り過ぎて行く。
一護が急いで歩いているので、振動がきついかと思ったが、そのような事は一切なかった。
一護の背は広く、振動はほとんどない。
温かいその背は、何だか妙に落ち着けた。


どうしたのだろう・・・だんだん体が熱くなっていく。

生徒達にこんな状態を見られたから?
一護の背中が落ち着くと思ったから?

・・・違う。
おそらくこれも風邪のせいだ。
風邪で、熱が前より上がってきている・・・きっとそうだ。


しばらくすると、一護が立ち止まった。
目線を上げて場所を確かめてみると、そこは私が目指していた保健室。

そこのドアを開けると、中には保健の教師も生徒もいない。
一護はそれを確認すると、負ぶっていた私を‘ベット’に静に座らせる。

「・・・何で何も言わねぇんだよ。」

色々と聞きたかった私が口を開こうとした時には、一護がそう私に尋ねていた。
いつものような大声で、ではなく静かな声で。

「何を言わなかったと言うのだ?」

急に聞かれたその言葉の意味がわからなかった私は、そう一護に返す。
別に、必要な事は言い忘れた憶えもないし、重要な事を隠している憶えもな・・・

「・・・お前、調子が悪いんだろ?何で何も言わねぇんだよ。」
「え・・・?」
「‘え?’じゃねぇよ。朝から少し変だと思ったら、やっぱり調子が良くねぇんじゃねぇか。どうした、その様子じゃ風邪か?」
「え・・・あ、いや・・・」
「授業の途中でもしんどかったら抜けたっていいんだよ。最近は、虚の感覚もわかってきたし、お前が出て行ったからって『虚か?』なんてもう思わねぇから大丈夫だって。ったく、無理に我慢しやがって。昼になっても言わねぇから、俺から声かけようとしたらふらふらで教室出てやがって。俺にまで気ぃ遣ってんじゃねぇよ。」
「・・・・・」
「おい、大丈夫かよ。ぼーっとして。あー!もう病人にこんなうるさい事言うもんじゃねぇな。・・・ちょっと待ってろ。薬探して来るから。」


・・・何だというのだ・・・

一護は気づいていたのか?

確かに、朝から体調がおかしかった。
でも、しばらくすれば治るかと思って、少し無理をしていたのも本当だ。
急に出て行ったら、一護に色々と迷惑をかけてしまうかと少し心配したのも・・・

無理していても、隠せていると思っていた。
そして、気づかれぬ自信もあったのだ。
・・・昔からずっとそうだったから。
事実、他の周りの人間は何も・・・

それを・・・一護はすべて気づいていたのか?

・・・また体が熱く・・・いや、温かく?
そして、何と表わせばいいかわからないこの気持ちは何だというのだ・・・


一護が薬を持ってきて、私に渡す。

「それで、少し寝てろ。後の授業は、俺がうまく言っておくからよ。」

一護が、私にそう言う。
静かな声に、気づいてみれば優しさのようなものまで加わっている。
いつも時々そうして優しさや気遣いに気づくが、ここまで全面に出す事などないのに。
何だろう、気持ち悪いと言うには違うこの気持ちは。
何だか胸がむずむずする・・・

・・・そうだ。
それは一先ず置いておいて、ここまで世話して貰ったのだから、一護に何か言わなければ。

・・・何と言えば言いのだろうか?


そう私が一護に伝える言葉を考えていると、一護が・・・

「おい、ルキア。」
「・・・ん?え、あ、何だ?」
「今度から何かあったら言えよな。」
「・・・え?」
「だから、俺に気ぃ遣うなって事だよ。こっち(現世)の生活もまだ慣れ始めで大変だろ?まぁ、死神業はまだ俺の事頼りねぇだろうけど、こういう時ぐらいは肩の力抜けって。お前の事情を俺は知ってるわけだし、何でも一人で全部抱え込もうとすんなよ。まだよくわかんねぇけど、何かそういう所あるぞ、お前。わかったか?・・・おい、聞いてんのか?」


・・・あぁ、体のだるさが不思議となくなってきた。
頭の痛みも少しとれてきたように思える。
なのに、体が熱い・・・でも、これは風邪の症状とは違う感じだ。
顔に至っては、焼けるように熱い・・・
それは、つらくはなく、何だか心地良い・・・?

何故だ?何故こんな症状が・・・

そうだ。
言い合いばかりである一護がいつもの違った接し方で、
普段なら言うはずもない言葉を私に・・・

・・・普段なら言うはずもない言葉・・・

それを思い出しただけで、また熱くぼーっとしてきた。
どうして・・・どうしてこんなn・・・

「おい!大丈夫かよ!・・・顔が赤くなってきたぞ。熱が上がったんじゃねぇのか?」
「・・・!!」

私は次の瞬間驚く。
それは、そう言いながら一護の手が私の額を触れてきたから。
何故だろう、またその瞬間急激に体温が上がった気がする。

「た、たわけー!!」

そう叫び、慌てて、一護のその手を振り払う。

別に、一護の行動が嫌だった訳ではない。
そう声をかけたくれた事も、触れられた事も・・・決して嫌だった訳ではなかった。
でも、それを認めてしまうのは駄目だと思ったから・・・

「お、おい!どうしたんだよ!思ったより調子が悪いのか?おい、ルキア!」

多少声を張っているが、頭を痛ませるような音量ではない声で、
その声を聞いただけで、相手を心配していると明らかにわかる声で一護は私に言う。
いつもならこうして怒鳴り合いの喧嘩になっても良い展開だというのに・・・
今日の貴様は何故そんなに優しいのだ?

また体が、顔が焼けるように熱くなっていく・・・
それがまた風邪の症状とは違う、決してつらくはないもので。
・・・心地良いものだとまた思う。

私は一体どうしてしまったというのだ?
・・・あぁ、駄目だ。また頭が働かない。

「寝る!」
「はぁ?」
「・・・少し良くなるまで私は寝る。午後の授業の事は頼むぞ、一護。」

とりあえず頭が働かない今は、寝る事が先決だ。
‘少し寝てろ。後の授業は、俺がうまく言っておくから’と言う一護の言葉に少し甘える事にしよう。


「わかった。じゃあ、静かに寝てろよ。誰か来たら、ちゃんと『調子悪い』って言うんだぞ?じゃあな。」

そう言って、保健室を出る為に一護は立ち上がった。


何か・・・何か言わなければならない。


面倒をかけてしまい、「すまない」?
色々と世話をしてくれて、「ありがとう」?
・・・私の様子に気づいて、心配してくれて、「嬉しかった」?

・・・「嬉しかった」?

私は、何を考えているのだろう。
何故そんな言葉が浮かんでくるのだ・・・
確か・・・一護にすべて見抜かれていた事に驚いて、
でも、気づいてくれた事が、やけに優しいのが嬉しくて、
普段と違う一護に、不意に額を触れられた事に、胸が高鳴っ・・・て・・・

・・・終盤がおかしい。
頭痛により思考が停止するのではなく、自分で思考を停止させる。

もうすべては風邪のせいだと。
風邪など引いてしまったから、余計な事にまで考えが及ぶのだと。
無理やりにでも、結論付けするしかない。

だって、風邪のせいではないと認めてしまったら、
今の気持ちをすべて認めてしまったら、
そしたら、私は・・・

「・・・一護。」
「ん、何だ?」
「あ、・・・また放課後な。」
「あ?おう、放課後な。じゃあな。」



そうだ。
ありえない話だ。

この私が、特別な感情を抱くなど・・・

ましてや、私は死神。一護は人間。
死神に感情などあってはならない。
その私が、そのような感情(もの)を抱くなど、
しかも、その抱いた相手が人間だなんて・・・決してあってはならない話だ。


こう考えてしまう事さえ、許されない事なのに。
それをすべて認めてしまう事など、あってはならない。

そうして、それを素直に言葉にする事が、
私と一護、・・・死神と人間、
その関係を壊してしまう始まりにさえ思えるから・・・


それを一護になど・・・

・・・絶対に言えない。











あとがき
『絶対に言えない』企画一護×ルキアを再録。

無意識いちゃいちゃバカップルでも、
じれったい想いの交錯でも、
甘々なラブい二人でも・・・

どんな関係でもイチルキは萌えです。

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2000/01/30 (Sun) オレンジ色が走る、オレンジ色を追う



今日は、部活が休み。

千鶴達が、私に話しかけてきた。

「鈴~、今日部活休みでしょ?一緒に帰ろう~。」
「あ、ごめん。読んでた本の区切りが悪いからさ。私少し読んでから帰る。」
「そっか、じゃー、また明日ね~。」
「うん、ごめん。また明日。」

そう言って、千鶴達に別れを告げた。
悪かったけど、本の区切りをつけないと気分が悪い。

さて、早く読み終えて帰ろう。

そう思いながら、私は本を読み始める。


どれくらい経っただろうか。
気づけば、オレンジ色の夕日の光が窓から射し込んでくる。

いけない、ちょっと読み入ってしまったみたいだ。
ここまで読んだら、そろそろ帰ろう。

そう思った時・・・

窓とは逆の方向から入ってくるはずのないオレンジ色の光が差し込んできた・・・






「オレンジ色が走る、オレンジ色を追う」





一瞬そう思ったが、そんなはずもなく、やけに目立つオレンジの髪の色をした生徒が入ってきただけなんだけど。

その目立った髪をした生徒の名前は、黒崎一護。

やたらと無愛想な顔で、教師に呼び出しをされて、密かに女子の中の一部では人気のある友達(たつき)の幼馴染。
入学してそんなに時間も経ってないし、まぁ、私はこんな奴に全然興味ないんだけど。

そんな黒崎が教室に入ってきた。

鞄を取りに来たらしく、何やら怪我をしている。
喧嘩でもしたんだろうか?

こいつ自身に興味はないけど、それだけは気になって、思わず声をかける。

「その怪我どうしたの?」

そう私が言うと、黒崎は変わらぬ眉間にしわを寄せた顔で・・・

「あ?ああ、見ればわかるだろ。喧嘩だよ、喧嘩。」

これが黒崎との初めての会話かもしれない。

相変わらずな無愛想な顔。おまけに返事。

入学当初からこんな怪我した感じで来る事が多いので、またかと思いながら・・・

「また?よく飽きないね・・・ホント」
「あ?好きでやってる訳じゃねぇーよ。」
「え・・・?」

黒崎の返答に驚く私。

黒崎はさらに続けて・・・

「売られた喧嘩を買ってるだけなんだよ。まぁ、全部勝ってるけどな。」
「売られた喧嘩?」
「ああ。こんな頭して目立ってると、どいつも気に入らないじゃねぇーの。」
「・・・髪の色直したら?」
「直すも何も地毛なんだよ、これは。」
「じゃー、喧嘩を買わなければ?」
「そんな性格じゃねぇんだよ。」
「・・・それは大変ね。」
「別に。もう慣れたからな・・・」

「もう慣れた」と言って、黒崎は顔を横に向け、遠くの方を見ていた。

その顔を見ていたら・・・

(・・・喧嘩っ早いくて、無愛想な奴だけど、悪い奴じゃないんだよ・・・)

たつきのその言葉を思い出す。

興味もないし、あの時はたつきの言ってる事が全然わからなかったけど、今は何となくわかる気がする。

そんな事を思っていると、突然黒崎が・・・

「あー、つうか、わりぃんだけどさ・・・」
「何?」
「あんたの名前何だっけ?」
「はぁ?」
「いや、わりぃな。名前覚えるの苦手でさ。たつき達とよくいるのは知ってんだが、
・・・あ。後、あれだろ?代表の挨拶とかしたろ、あんた。」

・・・おかしな奴。
今聞くタイミングじゃないのに。
そう言えば、たつきもそんな事言ってたっけ・・・。
それに、クラスが同じであれ、初めて話したんだから仕方ない。

そして、ため息をつくながら私は・・・

「・・・国枝鈴。」
「あー、国枝な。・・・うぉ!?やっべ!」

私の名前を復唱しながら、黒崎は時計に目をやった途端大声を出した。

どうしたかと聞くと、黒崎が・・・

「時間がねぇ。・・・遊子がうるせぇんだよな・・・」
「遊子?」
「妹だよ、妹。」

こんな無愛想な顔してるのに、そんな心配を・・・
何だかそのギャップがおかしすぎた。

そんな事を考えていると、黒崎が突然・・・

「へぇー、国枝も笑うんだな。」
「え・・・?」

え・・・私、笑ってた?

「顔に出た事見た事なかったからな。クラスの時も、たつき達といる時もあまり。」
「そ、そんな事ないわよ。おかしい時は笑うし・・・」
「今、おかしい事あったか?」
「別に。」
「はぁ~?意味わかんねぇ奴だなー、お前。」

そんな事を言っている黒崎。
・・・それは、あんたでしょ。

どうでもいい話も終わり、黒崎が・・・

「まぁ、いいや。お前まだ帰んねぇの?」
「本の区切りがついたら、帰るところよ。」
「そうか、じゃー、気をつけろよ。じゃーな、・・・え~と・・・(汗)」
「・・・国枝だって。」
「わ、わかってるよ!じゃーな、国枝。」

そう言って、教室を急いで出て行った黒崎。

・・・本当におかしな奴。


話したところで興味が沸く事もない。

ただ第一印象と全然違う奴だという事と、
たつきが言ってた事に、‘おかしな奴’というのが付け足されただけ。

窓から見下ろすと、校門へ向かってオレンジ色が走る。

そんなオレンジ色を、私は少し笑いながら目で追っていた。








あとがき
アンケートリクエスト第1弾であった、一護+国枝鈴を再録。
鈴ちゃんは現世キャラで結構好きです。(←いらない情報)

何ていうか、CPじゃなく、恋愛度ゼロの一護+鈴ちゃん。
おまけに友達度も全くなし。(笑)

時間軸的にはルキアと出会ってない時期。
こんな話があってもいいのでは?みたいな作品でした。

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2000/01/30 (Sun) 赤の他人? ~発展途上な二人~



違う、違う!

あいつは、ただの・・・

ただの赤の他人。





「赤の他人? ~発展途上な二人~」






とある休日。

一護とルキアは街中を二人で歩いている。
歩いていると言っても、ルキアが一護を引っ張り気味、一護がまるでやる気なしな様子ではあるのだが・・・。

そんな一護が、ルキアに・・・

「・・・おい、何で俺がお前の水着選びに付き合わなきゃいけねぇんだよ。」
「良いではないか♪どうせ暇だったのだろう?」
「どうせって何だ、どうせって。そういうの俺全然わかんねぇし、たつきや井上達誘えば良かったんじゃね?」
「男がグダグダ言うのは感心しないぞ。ほら、細かい事は良いから早く行くぞ!」
「・・・・・」

会話の中の話からすると、どうやら皆で海に行く為(26巻・巻末水着イラストより)に、ルキアの水着を買いに行くようである。

最初は少し文句を言うも、仕方ないと渋々付き合う事にした一護。



そうして、店に着き、ルキアの水着選びをする事に。

しかし、もうすぐ海やプールなどが最高潮になるこの時期。
大勢の人々が水着を見に店に来るのは当然で、それが女性同士や、カップルなどが多いのが明らかにわかる。
そんな中、「ただの付き添い」という位置に立たされている一護は何だか居心地の悪さを感じていた。

そんな一護をよそに、ルキアは店員に色々な水着を勧められている。

「お客様にはこちらの水着などいかがでしょうか?どんな所でも主役になれる水着でオススメですよ♪」
「(む?主役とは何の主役なのだ?・・・わからぬが、ここは何とか話を合わせなければ・・・)まぁ~、それは素敵ですわ♪」
「はい♪後ですね、別のこちらの方はこの夏先取りのデザインでございます。他にも、細身でスレンダーなお客様にはこういった水着も~・・・」
「(む~、どれが良いのやら・・・(汗、汗))な、なるほど~v(汗)」

店員に半ば押され気味な様子で色々な水着を説明され、どれが良いかも考える暇なく(店員の説明も半分以上わかってない)ルキアは少々困り気味。

そんな様子を、こいつ半分以上話わかってねぇんだろうなぁと思いながら近くで見ている一護。


すると、ルキアの反応に、もう一息何か決定打がほしいと気づき始めた店員が、一護の存在に気づく。

店員は、一護に・・・

「お客様。」
「(俺の事か・・・?)・・・はい?」
「お客様は、こちらのお客様の‘彼氏さん’で?」
「はぁ!?」
「彼女さんも悩んでおられますし、宜しければご一緒にs・・・」
「違います。」
「え?」
「こいつとは‘赤の他人’です。」
「・・・はい?」
「‘ただの付き添い’で来ただけなんで。こいつの好きなやつをこいつの好きなように選ばせてやって下さい。」
「・・・は、はぁ・・・(汗、汗)」

居心地が悪いのもあってか、何だか冷たく返答する一護。


確かにそんな関係ではないし、自分が半ば強引に付き合わせてしまっているのは充分わかる。
でも、赤の他人だなんて・・・そんな冷たい態度で答えなくても良いではないか。

一護の態度を見て、そんな事を思いながら少しムッとするルキア。

すると、半ばヤケになったルキアは店員に・・・

「店員さん、こちらのお店の一番オススメの水着はどちらでしょう?」
「え?あ、はい!当店一押しの水着はこちらです♪色の種類もたくさんあって、今大人気でこざいまして、きっと海やプールでも‘注目’されるような水着かと思います♪」


(・・・注目!?・・・)

店員のその言葉に反応する一護。
その水着を見ても、確かに派手で何だか男性などが特に目を向けてしまうようなデザイン。

海には他の連中(死神達を始め)も集まる今回。
ルキアがその水着が似合わない訳でもないし、自分がルキアをどうこう想っている訳でもない。
しかし、今の気持ちをうまく説明できないが、何だか面白くないと思う一護。

ルキアが「それにします。」と言おうとした瞬間、一護が・・・

「おい、それはやめろ。」
「・・・え?」
「お前には派手すぎだろ。やめとけ、それは。」
「・・・い、一護?」
「そうだな・・・。え~と・・・お、これだな。これにしとけ。」
「む・・・これ、か?」

そう言って、一護は違う水着(26巻・巻末水着イラストより)をルキアに手渡し、さらに続けて・・・

「そんな派手なやつより、そっちの方がお前に似合うと思うぞ。」
「え・・・ほ、本当か!」
「ああ。」
「む~・・・良し!じゃあ、こっちにする♪」
「おう。・・・店員さん、そんな訳でそっちのじゃなくて、こっちので宜しく。」
「・・・え?あ、は、はい!お買い上げ有り難うございます!(あんな事言ってたけど、やはりカップルだったのかしら・・・?)」


そうして、ルキアの水着選びも何とか決まったようである。
と言っても、本人ではなく色々あって一護がほとんど決めたのだが(笑)


店を出て、帰り道を歩く一護とルキア。

「良し、これで準備は整ったな♪貴様に結局選んでもらったし、買い物の付き添いまでしてもらってありがとな、一護!」
「・・・別に構わねぇけど。」
「む?何だか店の時辺りから様子が変だな・・・何かあったか?」
「何もねぇよ。」
「いや、何かあるって顔しているではないか。怒っておるのか?」
「そんな顔してねぇし、怒ってもねぇ!」
「ほら、怒っておるではないか!・・・人が素直に礼を言っているのに。」
「え・・・」
「自分でもよくわからぬが、貴様の店での最初の態度は何だか嫌だったし。よくわからぬが・・・貴様がこうして私の水着選んでくれたのは嬉しかったぞ。ありがとな。」

ルキアの言葉に、一護は冷静さを取り戻す。
さっきまで色々な事で何だかモヤモヤしてて、そんな気持ちになる理由がわからず気分が悪かった。
でも、何だか今の気分は悪くない。
・・・むしろ、気分が良い。


何だか説明できないこの気持ち。
気分が悪くなったり、気分が良くなったり・・・変な感じ。

まだどちらに転ぶかもわからないような‘発展途上’の気持ち。

一護も、ルキアも、そんな気持ちを感じている。


でも、今はその気持ちは一先ず置いといて・・・

「・・・わりぃ。」
「え・・・?」
「感じ悪くて悪かったって事だよ。後、それ(水着)に関しては礼言われる事でもねぇだろ。・・・てか、それで良かったのか?」
「む?貴様が似合うと言ったのであろう?だから、結構気に入っているぞ♪」
「あっそ・・・」
「ふふふ・・・♪」
「・・・あ、日焼け止めのクリームとか持っていった方がいいぞ。」
「む?日焼け止め・・・?」
「日焼けは肌にあまり良くないんだよ。だから、クリームとかで日焼けしないようにすんの。」
「おお、そうだな。その為にそんな物まであるのか・・・!」
「ああ、帽子とかも持っていった方が良いかもな。日も強いだろうし。」
「うむ、そうだな!」
「後・・・泳ぐ時以外はできるだけ上着とか着てろよな。」
「む?それは何故だ?」
「・・・・・‘日焼け予防’の為だよ。」


そんな会話をしながら、二人は黒崎家へと帰っていく。

一護の最後の言葉の意味は・・・‘日焼け予防’の為・・・だけ?(笑)





違う、違う!

あいつは、ただの・・・

ただの・・・赤の他人・・・?






あとがき
リクエスト作品、一護×ルキアを再録。
愛する徳川さんへ捧げ物作品ですv

その前にとても素敵で、激萌えな宝物を頂き、
「お礼にリクエスト作品書かせてやって下さい!」とご迷惑ながらお願いし、
とても素晴らしいネタを頂きまして、書かせて頂きましたこの作品。

テーマは「水着関連で、ルキアちゃんの水着(JC26巻・巻末イラスト)を一護が選ぶ」

なんて素敵なネタv
本当に、そんな話であったらいいのに~!

こういう原作風味の発展途上なイチルキも良いですね。


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2000/01/30 (Sun) 女として・・・?




あたしは、男っぽいけど一応‘女’。

別に自分をどう見られたって気にしないんだけどさ・・・

‘あいつ’はあたしの事、どう見てんだろ・・・?





「女として・・・?」





「有沢って男みたいなやつだよなぁー。」

部活が終わった帰り道、一人の男子生徒がそんな事を言ったのを思い出した。

中学に入っても、結構言われるこの言葉。

別にそんな自分が誰にどう見られてるかなんて気にしないんだけどさ、何だかわからないけどムカつく。

それがあまり知らない奴に言われたからなのか。
自分の事を女として見てないからなのか。

理由はわからないけど、何だかムカつく。


・・・まぁ、‘あいつ’に言われたなら文句は言えないんだけど。

その‘あいつ’っていうのは、‘黒崎一護’。

無愛想で怖がられてるけど、本当は大切なものを大事にする密かに女子生徒達に人気があるあたしの4歳からの幼馴染。


こいつの事なら何でも知ってるし、あいつもあたしの事を誰よりも知ってる。
まぁ、幼馴染だから当然なんだけど。(笑)


だから、こいつに言われるなら何の文句も言えない。

でも、そういう事に関して全然言ってきた事ないなぁ・・・


こいつ・・・一護と言えば、最近空手も凄く強くなってきて、あたしも中学に入ってからあまり一護に勝った記憶がない。

4歳の頃はあたしの圧勝だったのにな・・・。
・・・いや、9歳の時もあたしの方が上だった。

でも、‘あの時’を境に一護の空手へのやる気も変わったな・・・。

それから10歳、11歳・・・・・・と、あたしの勝つ回数も減っていった。

やっぱり悔しいし、試合とかしていて明らかに力の差が出てくると・・・

一護は‘男’で、あたしは‘女’だって思い知らされる。


そんな事もあって、ああいった事を言われると変な気持ちになるんだろうか?

あいつはあたしの事どう見てんだろ?
やっぱりゲーセンとかいく仲だから、男友達に近いのだろうか・・・?


・・・・・あー!何考えてんだ、あたしは!!

意味わかんないし、らしくない・・・!


そんな事を思っていると・・・・

「おおー、お前が有沢たつきか?」

何だか知らないガラの悪そうな男子生徒達がやって来た。

「・・・・・誰?」

本当にわからないので、あたしがそう言うと・・・

「あっ!?この前、やられたもんだよ!!今回は仲間を連れてきたんだ。お前、つえーんだからこのくらい楽勝だろ?」

・・・あー、またこういった奴か。
いつも誰かしらと喧嘩してるから(と言っても売られた喧嘩を買ってるだけなんだけど)、全然知らないわ・・・。

数は8人か・・・

ぶっちゃけ、ちょっとマズイかも・・・。

そんな事を思っていると、後ろから聞き慣れた声がしてきた。

「おう、たつき。」

振り返らなくてもわかる。
だって、4歳の時から聞いている声だから・・・

「一護!」

一応振り返って、あたしは一護の名前を呼ぶ。

すると、一護が・・・

「あ~、また喧嘩かよ。」
「うっさいなー。売られたの買ってるだけだって!」
「ったく、この人数じゃ大変だろ?手伝ってやるよ。」
「誰が手伝って何て言った?あたしだけで充分だって!」
「はっ、言ってろ。・・・ほら、来るぜ。」
「足引っ張んないでよね!」
「そっちこそ。」

こういった時のいつものあたし達のやりとり。

結果は当然、あたし達の快勝。
ったく、おととい来やがれっつーの!!

ちょっとお互い顔のケガを腕で拭いながら、あたし達は一緒に帰る。

いつものように一護が・・・

「ったく、いい加減にしろよなー。いつもいつも。」
「はぁ!?あんたの喧嘩をあたしが助ける方が多いって!」
「誰が助けろって言ったよ!」
「あ!今の台詞!そのままお返ししますー!!」
「あ!?」

いつもの喧嘩が終わった後のあたし達のやりとり。

ここまでいつもと変わりなかったんだけど・・・

次の瞬間、一護が思わぬ事を言ってきた。

「それによ・・・」
「は?」
「お前も‘女’なんだから一応気をつけろよなー。」
「え・・・」
「確かにお前を強いけど、俺は‘男’、お前は‘女’!最後に痛い目に遭うのは女なんだから、気をつけろって言ってんだ!」

へぇー・・・
あんたはあたしの事‘女’として見てんだ・・・。

ふぅーん・・・・・・・。


今のこの気持ちがよくわからない。
でも、悪い気分じゃないっていうのは確かで・・・

今日、あんな事を言われたからだろうか?
それとも、色々とあんたの事を考えていたから?

本当に訳がわからない。
らしくない・・・。

・・・ん?
女としてって事は・・・空手の時も女として見てるって事?


・・・あー、今の気持ちなし。
そう思うと何だかムカついてきた。

「おい、たつき!?おい、聞いてんのか!?たつき!」

色々考えていて、ボーっとしてたあたしを何度も呼んでいる一護。

そんな一護をあたしは蹴っ飛ばす。

「いって!!てめぇー、いきなり何すんだ!!」
「うっさいなー!」

そう言って、あたしは少し走って一護の前に立つ。

そして・・・

「一護・・・明日の部活の試合は絶対負けないからな!!」

思いっきりそう言ってやった。

一護も何だか笑ったように・・・

「はいはい。言ってろ。」

そう言って、またあたしに追いつく。

「はぁーあ、疲れた。たつき、アイスでも買って帰ろうぜ。」
「お、いいねぇー。」
「お前のおごりだぞ。」
「はぁ!?何であたしが!」
「喧嘩に付き合ってやったろー。」
「それとこれとは別でしょ!じゃんけんしよう。じゃんけん!!」
「はぁー・・・お前昔からそうだよなー・・・。」
「うっさいなー。ほら、いくよ!!」
「はいはい・・・。」


「「最初はグー。じゃんけん・・・・・・・・・・・・・!!」」




幼馴染に、女として見られてちょっと嬉しくて・・・

でも、ちょっとムカついた・・・・・・


そんな意味がわからない気持ちになった一日だった。








あとがき
一護+たつき、3万ヒットリクエスト作品を再録。

時間軸的に、中学生の二人のお話。
幼馴染での間合いならではのネタですかね。


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2000/01/30 (Sun) 素直にならないと負け





一護の部屋が騒がしい。

当然だ、私と一護が言い合いになっているのだから。

言い合いなど私達にとって珍しい事ではないのだが、
今回はお互い何かが引っ掛かっているのか、私も一護もいらいらと・・・
歯止めがきかない感じになっている。


何でこんな事になっているのだろうか・・・


そうだ、確か一護のベットでごろごろとしている時に・・・





「素直にならないと負け」





「あ~、暇だな。一護。」
「・・・暇じゃねぇよ、俺は。」
「お、そうなのか?大変だな。何をしているのだ?」
「課題出てたろ、それやってんだよ。」
「おお、いつも思うが、外見では考えられぬ程真面目な奴だな~」
「うるせぇ。つうか、俺があるんだから、お前もあるだろ、課題!」
「ああ、あの数学のか。確か今回のは難しい課題であったなぁ。」
「他人事みたいに言うな。早く済ました方が楽だぞ。早くやってこい。」
「む~・・・」
「・・・まさかお前、写し待ちじゃねえだろうな。」
「な、たわけ!最近は自分で少しは解くようになったろ!」
「まぁ、確かにな。じゃあ、何で今そこにいんだよ?」
「な、何故って・・・べ、別に・・・」
「???」
「べ、別に意味などない!ベットで寝ていたかっただけだ、莫迦者!」
「はぁ!?何でそんな事言われなきゃなんねぇんだよ!意味わかんねぇし!」
「わ、わからなくて良い!」
「何でだよ!」
「何でもだ!」


私達は他愛のない事でよく言い合いになる。

でも、今となっては別に珍しくもなく、
それが何日も会話をしないような大喧嘩のきっかけになったり、
数時間したら普通に会話をしているような小さな事だったり。

そんな小さな言い合いまで数えていたらもう数え切れないほどで。


様々な事があって、また再び現世へ来て、
また学校というものに通い始めて、
また一護と行動を共にするようになって、
もう長い月日が経っていた。

それに比例してか、気づけば、一護への想いが大きなものになっている。
最初は自分でも気づかないような感情だったのかもしれない。
ただ、まだまだ死神の仕事が未熟だから気になるとか、心配だとか、
そんな違った感情と勘違いしていたのかもしれない。


気づかないほど、静かに、ゆっくりと、
想う気持ちは積もりに積もり・・・


死神がこうした感情を持つべきではないのに。
持ってはいけない感情なのにと思っていたのだが、
最近ではそれですら抑えられないほどの大きな想い(もの)になりつつあるのが確かで・・・



「間に合わなくなっても、俺は知らねぇからな。」という一護の言葉で、今の言い合いは一先ず終わる。

私の方を向いていた一護は、椅子を回転させて再び机と向き合い、
一護のベットで寝そべっていた状態から上体だけ起こしていた私も、また再びベットへ横たわる。

そして、少しごろごろとしてから何気なく視線だけ一護の背中へ向けた。

一護は・・・
外見から判断しての意外性とかでは決してなく、本当に真面目な性格。
根性もあるし、男気もある。
危なっかしい面でもあるが、自分でそう思う事・そうしたい事に対する行動力・決断力は凄い。
無愛想で相手によって勘違いされたりもするが、家族はもちろん誰に対しても優しい。
今も「間に合わなくなっても、俺は知らねぇからな。」などと言っていたが、解らない所があったりすれば教えてくれたり、助けてくれるのがいつもの事だ。

凄く不器用で、
しかし、とても真っすぐで・・・

そして、誰もがわからないような事がわかるような敏い面を見せる。
例えば、必死で隠していた事・我慢していた事を簡単にわかってしまう時とか。
まるですべてわかっていたのかと、こちらが驚くほどに。


逆に、誰もがわかるような事にいまいちわかっていない鈍感な面も見せる。
例えば、異性から好意を寄せられている時とか。
それが、近しい者からでも、普段あまり関わりを持たぬ者からでも。

そんな男だから、きっと気づいてはいまい。
私が想いを寄せるようになった事になんて・・・


時々、何事でも素直に表現できる女子生徒達が羨ましく思う。
相手へ想いを告げられるとか、
嫉妬心や、独占欲を態度や言葉で表せるとか。
私から見てみても、素直で可愛いと思う者達が羨ましくて。


しかし、そうは思っても、きっと私には到底真似できぬ事。
こちらへ再び来た理由の一つが「少しでも傍にいられれば」という事も言えず、
それを察されてこちらへの無期限滞在の話に悩んでいる事も表せず、
今でさえ「構ってほしい」とか「少しでも一緒にいたい」と素直に言えないで、言い合いのようになってしまうのだ。

そんな私には、本当に無理難題も良いところで・・・



苦しいのか、痛いのか、胸が一杯になってしまいそうで深く息を吐く。
再び一護のベットをごろごろと左右に動いていると、その隙間に何かがある事に気づいた。
手で探り触れた感触からしてきっと書物であろう。
しかし、何故こんな場所に隠すのだ・・・?

それが何なのか、そこから引き抜いて確認しようとすると同時に、一護に尋ねてみた。

「一護、ベットの隙間に何か挟まっておるぞ。」
「あ?・・・!!・・・ちょ、ちょっと待て!」

その一護の焦る声がした時には、その書物は私の目の前にきていた。

書物であるのは確かだったが、その驚くような表紙に私は大きく目を見開く。

豊満で恵まれた体型。
色気のある潤んだ表情。

表紙、そして、無意識にぱらぱら捲ると、魅力十二分な女性達が淫らで艶やかな姿勢で写っている。

井上達といた時に、本匠が持ってきていた憶えがある。
確か、こちらでは‘えろ本’と呼ばれている書物だったか・・・


「そ、それは、この前水色達が家に来た時に、あいつらが置いていきやがってだな・・・」

ばつが悪いと思ってか、一護が私の方を見て弁明している。


「何だ、別にまだ私は何も訊いておらぬぞ?」
「ぐ・・・だ、だってよ・・・」

冷静を装いながら、私は一護にそう言った。
一護は、少し顔を赤らめ、次の言葉を必死で探しているようだ。


豊満で恵まれた体型。
色気のある潤んだ表情。
そして、何より魅力十二分な女性・・・

・・・それは、私にはどれも無縁なもので。

そうしたものと、一護の態度を見て、ちくりと何かが刺さるように胸の奥が痛む。

・・・痛い、何だか苦しい。

「まぁ、何だ、このような書物は貴様くらいの歳なら当たり前といったところなのだろう?何をそんな必死で弁明する必要があるのだ。このくらいの事、私に知られても、どうもならぬ事ではないか。」

何か言葉を出さないと苦しく耐えきれなくて、一気に言葉を吐き出す。
それを聞いた一護は、目を大きくして私を見ていた。

「貴様、こういった女が好みなのか?」
「はぁ!?そんな好みも何も、水色達が置いていったって今言っただろう!聞いてなかったのかよ!」
「何だ、はっきりとは言わぬのだな。」
「だ、だから、はっきりも何も・・・!!」
「良いではないか。何をそんなに焦っておるのだ?こうした書物を読んでいても、好みの女性がいても、貴様くらいの歳では健全だと言っているのだ。私は何一つ否定などしておらぬではないか。」

訊かなくて良い事、
言わなくても良い事、
そんな言葉が次々と出てくる。
今の私は、何故か普段より良く喋る。


そして・・・

「貴様、好きな者とかおらぬのか?」
「な!・・・」

一護の顔がさらに赤くなる。
何ともわかりやすい奴だ。

その一護の反応を見て、胸の奥がさらに痛む。

「いるのだな、好きな者が。」
「な、俺は別に・・・!」
「貴様の態度見れば、まるわかりも良いところだ。・・・健全な事ではないか、不思議な事では一切ない。」
「・・・・・・」

ああ・・・

「想いを告げたりはせぬのか?」
「・・・嫌われてはいねぇと思うけど、相手にどう思われてるか、いまいちわかんねぇし。」

訊かなくて良い事を聞けば、聞きたくない言葉が返ってきたりする事があるなどわかっているのに。

「おいおい、貴様らしくないな。男なら玉砕覚悟でいくものだろう、貴様のようなタイプなら尚更だ。・・・良い情報を教えてやろうか。相手が誰であれ、貴様が想いを告げれば大抵良い結果だと思うぞ。日頃、女子生徒達の話をたくさん聞いている私が言うのだから間違いない。どうだ、その相手が誰なのかなども聞いてやっても良いが?」
「・・・お前には関係ねぇだろ。」

言わなくても良い事を聞けば、言われたくない言葉が返ってきたりする事があるなどわかっていたのに。


・・・そうか。
一護には好きな者がいるのだ。
それもあの真っすぐな男が、結果を恐れてしまうくらい想われている者が・・・

何も不思議な事ではない。
人が人に想いを寄せる。
当たり前の事だ。


冷静を装う事、感情を隠す事には自信がある。
そんな私でも少し・・・いや、かなり限界が近い。



「何だ、今更。ここまで言ったのだ、答えてくれても良いだろう?」
「・・・・・・」
「・・・仕方ない、私は言い当ててやろう。ずばり貴様の想い人は井上であろう!井上は美人でスタイルも良い容姿端麗であるしな。いや、頭も運動神経も良いから才色兼備か。心も優しく、気配りも出来る娘だ。貴様には勿体ない程だと思われるかもしれぬが、バランスとしては全然悪くないだろう。どうだ、正解だろう?」
「何で井上が出てくんだよ。・・・もういいだろ、ほっとけって。」
「何だ、違うのか?そうでないとすると・・・あ、そうか!有沢だな?貴様の幼馴染だからな。昔からの付き合いだから気づかなかったが、最近異性として気になり始めたか?男のようだなどと言う男子生徒もいるが、そんな事はない。優しくて、とてもしっかりしているし、時々見せる女らしい部分が何とも可愛らしいからな。何よりも貴様の事をよく理解してくれる娘だ。どうだ、今度こそ当たっただろう?」
「たつきがどうしたっていうんだよ。もういいって言ってんだろ、話聞けよ。」
「何だ、何だ。違うのか?前から何度も言っているが、私は貴様よりもかなり長く生きているのだ。こ、恋沙汰などにも詳しいぞ。人生の先輩として相談に乗ってやろうとしているのではないか。む~、そうだな~・・・他でいうと・・・」


「いいから、ほっとけって何度言ったらわかんだよ!!」


恋沙汰など、そんな経験もないくせに強がり交じりで言葉を並べていると、
一護の大声が、部屋中に響く。
そうだ、確か騒がしくなったのはここからだった・・・


椅子から立ち上がって大声を出した一護は、私と真っすぐ向き合う形になった。
怒りの声というよりは、何か振り絞って出した声であると感じたのは気のせいか・・・

私を見ている一護に向かって、私は口を開く。

「何も大声を出す事ではないだろう。人が親切に相談に乗ってやろうというのに・・・」
「相談に乗ってくれって誰が言ったんだよ!俺が言ったか!?ほっとけって言ってんだよ、俺は!」
「・・・ああ、言ってはいなかったな。しかし、あんな態度とられたら、私に関係ない事でも興味が沸く事だってあるだろう?」


「・・・それが大きなお世話なんだよ!!お前が関係ないって思う事なら、そんな事訊くなって言ってんだ!!」


ずきんと・・・今度は大きな何かが刺さったように胸の奥が激しく痛む。
・・・もう限界だった。

「・・・悪かったな!余計なお世話で!私には到底関係のない事だったな!人が人に想いを寄せる、人が人と好き合う、愛し合う、時には別れる・・・本当に、私には関係のない事だ!それが一護の場合も例外ではないという事が言いたいのだろう?よくわかった・・・なら、早くその想い人の所へでも何でも行ってくれば良いではないか!想いを告げるなり、振られるなり、好き合うなり、愛し合うなり・・・勝手にしてくるが良い!」

それを聞いた一護は唖然としている。

「・・・あ、すまぬ。いち・・・」

(バタン!)

冷静さを取り戻した私は、自分のしてしまった事に気づいて、謝ろうとした途中に、一護は部屋を出て、ドアを閉める大きな音が鳴り響く。


訊かなくて良い事、
言わなくても良い事、
気づけばそうした言葉を一護へぶつけてしまっていた。

一護にとって聞きたくない言葉、言われたくない言葉、
一護を傷つけてしまうに充分な言葉をたくさんぶつけてしまったのだ。

怒って出て行くのも無理もない。
いや、そうした行動にでるのも当然だ・・・

はは、好きな者へ素直に何も言えず、
逆に傷つけて嫌われるなんて・・・笑い話にもならぬ。

・・・そう、もう確実に嫌われて・・・

ベットのシーツをきゅっと少し力を込めて掴む。
気づけば、視界が歪んでいた。

どうして、どうしてあのような酷い事を言ってしまったのか。

冷静を装う事、感情を隠す事には自信がある。

何時、何処で、何が起こっても冷静に。
時には、そうした場面で感情を押し殺す。

・・・冷静を装う事、感情を隠す事には自信があったのだ。


しかし、あの書物を見つけて、ああした話題になって・・・

どこか自分に劣等感を感じたのだろう、何の取り柄もない自分に。
どこか嫉妬心があったのかもしれない、誰かわからぬ一護の想い人へ。

そして、どこか独占欲のような感情(もの)があったのかもしれない。
気づけばいつも隣にいて、
出会ってからはおそらく一番共にいる時間が長く、
一護の隣が、
そんな日常が、
気づけば当たり前のようになっていたから。


だからと言って、あんな言葉をぶつけるのはないだろう。
相手の事を考えもせず、自分の視点だけであんな言葉をぶつけるなんて。

最低だ、嫌われて当然でh・・・


(バタン!)


改めて思い返していると、ドアが開き、再び強く閉まった音がする。

視線をその方へ移すと・・・

「・・・一護。」

そこには一護が立っている。
そう言えば、階段を下りる音もなかった。
何処へも行かなかったという事か・・・?


「な、何だ、一護。まだ行っていなかったのか?早く支度でも何でもして行った方が良いではないか。」

ドアの傍で立っている一護の顔を見る事なく、またもやそんな言葉を投げつける。
ああ、もう救いようがない・・・

いや、これで良いのだ。
あれだけ傷つけたのだから、中途半端ではなくとことん嫌われてしまえば良い。
自分勝手だとは思うが、そうすれば・・・気持ちの整理も容易になる。

すると、一護が私の方へ近づいてきた。
そして、静かに口を開く。

「ルキア。お前、何でまたこっちに来たんだ?」
「・・・え?」

何を言われるかと思えば、意図のわからぬ一護の質問に思わず聞き返すような声を出す。

何故このような時にそんな事を・・・

「なぁ、何でまたこっちに来てくれたんだ?いつまでこっちにいるんだ?」
「な、何故と言われても・・・い、一護どうして今そんな事を・・・」

素直に言えずに、逆に問い返す。

すると、一護は続けて・・・

「この前・・・浮竹さん達から話聞いたんだ。こっちに来る奴は誰でも良かったとか、お前次第で来る奴が違ってたとか、こっちにいつまでいるのもお前次第だとか・・・」
「な、そ、それは・・・!」
「いいから、最後まで聞けよ。」
「む・・・」
「そんな話聞いて、お前がまたこっち来てくれたって事だけで・・・俺はすげー嬉しかった。」

その言葉の次には、一護が私を抱きしめていた。
とても強く、それでいてとても優しく。

「い、一護・・・?」
「・・・男は玉砕覚悟なんだろ?日頃の倍以上アピールしてんだ。いくらお前ほどの天然な奴でもいいかげんわかるだろ?可能性低いのに、めちゃめちゃ根性だしてんだから、しっかり答えろよな。」
「え・・・あ、あの・・・」


「俺、ルキアが好きだ。」


少し離れた一護は私にそう告げる。
真っすぐ、真剣な目で私に。

予想もしなかった言葉、
予想もしなかった展開、
ちくりと痛んでいた胸の奥が、急にどきどきと再び苦しくなる。
でも、この苦しさは先程までとは全く違うもので。


「・・・本当か?」
「ああ、こんな状況で嘘言う奴がどこにいんだよ。」
「・・・魅力何一つないこんな私をか?」
「おいおい、誰がそんな事言ったんだよ。・・・つ、つうか、お返事聞かせてもらえませんかね?」


予想もしなかった言葉、
予想もしなかった展開、
ちくりと痛んでいた胸の奥が、急にどきどきと再び苦しくなる。
でも、この苦しさは先程までとは全く違うもので。
もう胸が一杯で弾けてしまいそうだ。

こんな状態で、どう答えたら良いのだ・・・


「・・・莫迦者。浮竹隊長達から話を聞いたのだろ?それで、私はこちらへ来る事を選んだ・・・もう察すればわかる事であろう、鈍感め!」
「鈍感て・・・てめぇ!どういう意味d・・・え、という事は・・・」
「わ、私も同じ気持ちだという事だ!それくらいわかれ!」
「・・・マジっすか?」
「この状況で嘘を言う者はいないと先程貴様が言っておったではないか、たわけ!」
「・・・ったく、どんな返事だよ、それ。」


・・・全くだ。
こんな時でさえ、素直に言えないなんて。

でも、この事だけは素直に・・・

「先程は、酷い事を言ってしまってすまぬ。」
「ん?ああ、あれか。別に、俺が先に怒鳴ったのも悪かったんだし。俺こそわりぃ。」
「し、しかし・・・」
「まぁ、ああいう少しガキっぽい所もお前のいいとこっていうか。」
「な、何を!!一護、貴様!」
「ははは。でも、まぁ、好きな女に後押しさせるのは少し恥ずかしい話だけど、良かったっていうか。ほんと可能性低いと思っていたからよ。」
「な、それはこちらの台詞だ!私だってそう思っておったのだぞ!」
「いやいや、結構頑張っていたと思うんですけど・・・」
「全然だ!もっと行動にだしてもらわぬとわからぬ!」
「お前、すげー天然だもんな。そんな事言ったら、俺の方がわからなかったって。」
「む・・・ちょっとした事で察しろ。莫迦者。」
「・・・無理な事を・・・でも、まぁ、いい結果だったって事で、すげー嬉しいからいいわ。」
「・・・一護・・・」
「お前は?」
「え・・・?」
「だから、お前はどうなんだって。感想。」
「え・・・あ、わ、私も・・・その・・・」


必死に答えようとした瞬間、下の階から一護を呼ぶ声がする。


一護はそれを聞いて立ち上がり、ドアの所で私の方を向いて・・・

「まぁ、また今度の機会に聞かせてくれよ。お前の感想な。」

そう言って、静かにドアを閉めて、下へと向かっていった。


な、何が感想だ・・・


一人、一護の部屋に残されると、自然と今までの展開を思い返す。
今日一日だけでたくさんの出来事があった。
特に、後半なんて予想外であったし、とても展開が速くて、
現実なのか、夢なのかわからぬ程で・・・
でも、一護の真剣な言葉が、表情が今でも残っている。

いつからなのか、もうずっと顔が、体が焼けるように熱い。


・・・感想か・・・

一護からそんな言葉を貰えて、「嬉しかった」?
その言葉を聞いた瞬間、心臓が止まってしまいそうな程、「幸せな気持ちだった」?
そんな一護とこれからも、「一緒にいたい」?

どれも思いはすれど、口に出すには今の私には難しい言葉ばかりで・・・
というより、次に会う時にどんな顔で会えば良いかもわからない。



「嬉しい」?
「幸せ」?
「一緒にいたい」?


今の私には到底無理な話。

だから、今はまだ・・・



・・・絶対に言ってやらない。













あとがき
『絶対に言ってやらない』企画、一護×ルキア再録。
原作風味ですが少し違います。
この後一緒に行動を共にしていたらどうなるんだろうなぁと思いヘボいなりにも書かせて頂きました作品です。

実は両想いなのに、想いが行き違っている感じも萌えですよね、イチルキは。

駄文小説 |


2000/01/28 (Fri) 消えた笑顔が戻った日・・・




黒崎一護。

あたしは、こいつの事なら何でも知っている。

だって、あたし達は4歳からの幼馴染。

あたしは、こいつの事なら何でも知っている。

こいつの笑顔だって・・・その笑顔が消えた日だって・・・

こいつの笑顔はいつ戻って来るのだろうか?

‘あの日’からそんな事をずっと思ってた。

今日、この光景を目の当たりにするまでは・・・





「消えた笑顔が戻った日・・・」





中学・高校と常にあたしに必ず話しかけられてくるのがこれ。

「黒崎(黒崎くん)と幼馴染なんでしょ?で、好きなの?」
「付き合う気はないの?」

男女問わず、こういったネタには皆興味があるらしい。

あたしの答えは当然‘NO’。

あたし達はそんなんじゃないんだって。

‘友達以上恋人未満’?

そんなんでもない。
自分で言うのもなんだけど、あたしは男っぽい・・・。

一護もあたしの事を‘女友達’というよりも‘男友達’に近い接し方。

それでいいんだと思う。

でも、一応あたしも女。
それ以上を望まないって言ったら嘘になる。

見ての通り、一護は中学から高校と異常にもてる。

「あの怖い無愛想な顔がカッコイイ。」
「強くて、スポーツ万能で・・・」

そんな事を言って騒いでいる女子生徒。

確かにそれもあいつの魅力。

でも、それが本当の魅力じゃない。

そして、皆知らない。

あいつが何であんなに眉間にしわを寄せた無愛想な顔になったのか。
あいつが何であんなに強くなったのか。

皆知らない。

あいつのお母さんが亡くなってからあんな顔になって、笑顔が消えて、
その事で自分を責めてて、その事で家族を守るために強くなったって事を・・・

言い出したらキリがない。
あいつの魅力は、自惚れじゃなくあたしが一番知っている。


あいつの隣にずっと居れたら・・・

そんな事を思った事があったが、あたしにはそんな資格はない。

だって、あいつの事を一番知っていたはずなのに・・・

あいつの異変に3年間も気づかなかったのだから・・・。


そして、あたしはその時こう決めたんだ。

‘ただの幼馴染の関係のままでいいから、どこかであいつの支えになろう’って。


そんな決意をして、時間は経って・・・高校生。

あたしの親友が、一護を好きになった。

その子の名前は井上織姫。

あたしと違って、本当に絵に描いたような女の子な女の子。
素直でいい子で・・・全くあんたには勿体ないくらいな子。

そして、その子は‘6月16日のあんたの異変’に一回で気づいた。

あたしは織姫の凄さに驚いて、思ったんだ。

こういう子があんたの傍にいるべきだって・・・

そんな事もあって、あたしは織姫の恋を一生懸命応援しようと、織姫にあんたの昔の事を話した。

6月17日は、あんたは休み。

そして、6月18日。
あの日から、あんたは絶対辛気臭い顔して登校してくる。

それを直すのは今は織姫は無理だから、あたしの役目。


そんな事を思いながら、あんたの登校を待つ。

そして、クラスに入ってきたあんたを見るなり、声を掛けようとしたが、あんたの違う顔を見て止まってしまった。

何?その吹っ切れた顔は?

多分、織姫はもちろん他の生徒達はわからないだろうけど・・・
あの日から見てきたいつもの辛気臭い顔とは違う一護の顔。

何かあったのだろうか?

あたしは不思議だった。
織姫?いや、それはない。
じゃー、何が?誰が?

そんな事を思っていた時・・・

「おはようございます。黒崎君♪」
「・・・おう。」

一護とその人との、普通の挨拶のやりとり・・・
でも、その光景を見た時、あたしは一瞬昔の事を思い出した。

「一護?」
「何?」
「あんた、何で空手なんて始めたの?」
「それは、母ちゃんや妹達を守るためだよ!」
「へぇ~、意外と考えてんだぁ~。」
「へへへ・・・♪」

今はもう見れなくなった一護の‘あの笑顔’。


別に今一護が笑った訳じゃない。
いつもの無愛想な顔。

でも、皆にはわからないだろうけど、その人に向けられた一護の顔が何だか笑顔にあたしには見えた・・・そんな気がした。

その人は、あたしでも・・・織姫でもなく・・・

謎の転校生の朽木さん。


二人に何があったかは、あんたの事を何でも知っているあたしでもわかならい。

でもこれだけはわかった。

朽木さんが、一護を救ってくれたんだって事。


そして、もう一つ。

あたしの知らないところで、あんたは自分の隣に相応しい人を自分で見つけたんだって事。


別にショックじゃない。

今、素直に思うのは・・・

「朽木さん、ありがとう。」

という気持ち。

でも、幼馴染としてかな?
ちょっと悔しい。

あたしが何年掛けても戻す事ができなかったあいつの笑顔を、転校してすぐに戻しちゃったんだから・・・。


6月18日。

あたしの幼馴染の・・・消えた笑顔が戻った日・・・。








あとがき
サイト初期頃のリクエスト作品、一護×ルキア←たつき視点を再録。

現世で一護の理解者は、たつきちゃんとかだと思うので(茶渡などもですが)、
そういう時、イチルキの雰囲気に気づいてくれればいいなぁと思い、こんな作品です。

今もですが、この頃もヘボヘボ作品炸裂(滝汗)

すみません。(土下座)

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